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元京大医学教授が伝授 がん・生活習慣病を撃退するいのちの食事

2018年8月 5日号

 ◇がん患者が殺到する医院! 元京大医学部教授が伝授

"標準がん治療"への疑問から新たながん治療を模索する元京都大教授の和田洋巳医師(75)。大好評連載「がん制圧の法則」に続く新シリーズでは、がんだけでなく生活習慣病にも視野を広げつつ、日々の食卓に工夫を凝らす「撃退術」を伝授してもらうことにした。

 本誌5月6日・13日合併号から全6回にわたってお届けしたシリーズ「がん制圧の法則」。中でも、からすま和田クリニック院長で元京都大医学部教授の和田洋巳医師(75)が考案した「和田屋のごはん」(注1)は、がん患者やその家族をはじめ数多くの読者から大きな反響をいただいた。
 実は、前シリーズの第4回で「食生活で『がんに克(か)つレシピ』」と銘打って一部紹介した和田屋のごはんは、「がん」のみならず心臓発作や脳卒中などを引き起こす「生活習慣病」の予防や改善にも絶大な効果がある。そこで、今回からは「がん・生活習慣病を撃退する『いのちの食事』」と題し、前回までの内容を大幅に拡大した新シリーズとして、和田屋のごはんの全貌を余すところなく紹介していきたい。
「和田屋のごはん」はなぜ「がん」や「生活習慣病」に効くのか―。新シリーズの第1回は、健康長寿をもたらす「8カ条」の"心得"に沿いながら、食事と病、食事と健康を巡るメカニズムにズバリ迫る。
     ※
―もともと、和田屋のごはんは「がんが住みにくい体をつくる食事」として考案されたものですね。
和田 がんが暴れ出すか否かは、がん細胞周辺の微細環境の良し悪(あ)しで決まります。主なポイントは、(1)がん細胞周辺の微細環境をアルカリ性に保つこと、(2)がん細胞に活動のための兵糧を与えないこと、(3)がん細胞に成長促進のための物質を与えないこと、(4)がん細胞に脂肪酸を合成させないこと、(5)微細環境を悪化させる炎症を鎮めること、(6)体の免疫力を高めること、の6点。詳しくは前シリーズの第2回で解説しましたが、要は、この「六つの治療戦略」に従って食生活を見直せば、がんはおのずとおとなしくなるのです。
―とすれば、和田屋のごはんは「がんをおとなしくさせる」だけでなく、がんの「再発予防」や「発症予防」にも効果がある、ということになりませんか。
和田 そう思います。私のクリニックに来られる患者さんの半数は4期(注2)の患者さんですが、「あなたのがんは治りません」と宣告された状況でも、3割近い患者さんが食生活の改善で劇的寛解(注3)を得ているのです。劇的寛解をもたらす科学的なメカニズムを考えれば、和田屋のごはんが手術後のがんの再発予防、さらにはがんの発症予防にも効果があるのはむしろ当然でしょう。
―実際、和田先生ご自身も和田屋のごはんでスキルス性の胃がん(注4)を見事に克服されました。
和田 私の場合、がんは早期のものでしたが、手術後に食生活を見直した結果、この通り、再発もなくピンピンしています。胃をほぼ全摘してからおよそ10年になりますが、今も朝・昼・夕の3食とも和田屋のごはんです。私がどんな食事を続けているのか。読者の皆さんが具体的にイメージできるよう、まずは一例、私の「ある日の夕食」を材料やレシピとともに16ページに紹介しておきました。
―この献立例の中身をつぶさに見ていくと、和田屋のごはんは「がん」のみならず「生活習慣病」の予防や改善にも絶大な効果があるように思えますが。
和田 その通りです。厚生労働省の最新のデータによれば、日本人の死因別死亡数の割合のワーストスリーは悪性新生物(がん)27・8%、心疾患(高血圧性の不整脈や心不全などを除く心筋梗塞(こうそく)や狭心症など)15・2%、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)8・2%となっています(注5)。和田屋のごはんは第1位の悪性新生物(がん)だけではなく、第2位の心疾患や第3位の脳血管疾患、さらにはこれらワーストスリーを含めた致死的な疾患のトリガーとなる糖尿病などの予防、あるいはこれらの疾患の背景にある高血圧や肥満などの改善にも直接的で大きな効果があります。
―とすれば、和田屋のごはんは、言うなれば「健康長寿をもたらす『いのちの食事』」ということになってきますね。以下、科学的なメカニズムも含め、具体的にご解説願います。
和田 それには15ページに掲げた「大原則」と「8つの基本ルール」からなる「和田屋のごはん心得」に沿ってお話ししていくのがわかりやすいでしょう。まず大原則ですが、なぜ「精製、加工されていない食材を丸ごと食べる」のがベストかといえば、そうすることで食事が体にもたらす効果を最大化することができるからです。食材にあれこれ手を加えたり、一部を捨ててしまったりすれば、それだけ食材の持つ力は失われていきます。もちろん美味(おい)しくいただくための工夫は必要ですが、このあたりは多言を弄(ろう)さずともご理解いただけると思います。もう一つの「植物性の食材を中心に」については、8つの基本ルールを巡る説明の中で解説していきましょう。

 ◇白米過剰摂取のリスクとは?

―では、基本ルール1にある炭水化物から。

和田 炭水化物はブドウ糖などに変化して体内に取り込まれますが、がん細胞もまたブドウ糖をエネルギー源としています。がん細胞にはブドウ糖輸送器が正常細胞の10倍以上も存在しており、がん細胞は必要量を超えて体内に摂取されたブドウ糖をせっせと取り込んでいるのです。したがって、ブドウ糖そのものに該当する甘味品はもちろんのこと、体内で一気にブドウ糖に変化する白米などの摂取はがん細胞を勢いづかせます。これが精製されていない玄米や全粒粉(注6)を使ったパンなどであれば、体内におけるブドウ糖への変化は緩やかに進むのです。
―白米などの過剰摂取を続けていると、糖尿病のリスクも増していきますね。
和田 2型糖尿病(注7)は肥満や加齢のほか、血糖値を急上昇させる食事を続けることでも発症します。すい臓が血糖値を下げるためのインスリンを頻繁に分泌して疲弊してしまうからです。しかも、糖尿病はがんや生活習慣病の"親玉"のような存在でもあるのです。事実、17ページの表にもあるように、糖尿病の患者さんが糖尿病そのもので亡くなることは稀(まれ)で、多くは糖尿病からがん、感染症、血管障害、虚血性心疾患以外の心疾患(高血圧性の心疾患)、肝硬変症などを発症して亡くなっています。この一事をもってしても、穀類を玄米や全粒粉パンなどの方法で摂取することがいかに健康長寿につながるかがわかるでしょう。
―では、基本ルール2の塩分(ナトリウム)は?
和田 がん細胞はナトリウムを取り込むと同時にプロトン(水素イオン)を細胞外に排出します。そして、がん細胞周辺の微細環境は水素イオンが増えれば増えるほど酸性に傾いていきます。実は、がん細胞は周辺の微細環境を酸性に保つことで、自身が住みやすい条件をつくり出しています。つまり、食事を通じて大本となる塩分の摂取を控えれば、がん細胞周辺の微細環境はアルカリ性に保たれ、がんは活性を失って弱体化していくわけです。
 また、塩分は血圧を上昇させます。塩分過多の食事を続けていると慢性的な高血圧症に陥り、前述した高血圧性心疾患や脳血管障害などを引き起こします。逆に、必要量以上の塩分摂取を意識的に控えれば、血圧は年齢に応じた適正値に保たれ(高齢になるほど血圧は上昇)、高血圧を原因とする生活習慣病を予防することができるのです。

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