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必ず役立ちます! 激変した相続対策 最新マニュアル全公開 

2018年5月27日号

 配偶者の「居住権」や法定相続人以外の介護の金銭請求を認めるなど約40年ぶりの民法改正法案が今国会で審議されている。4月からは、節税対策の"定番"だった「小規模宅地等の特例」の適用も厳格化された。最新情報を知り、相続のツボを押さえたい。

 ◇最大の節税テクがパー 自宅の評価8割減の"家なき子"特例が使えない

 親が亡くなって相続する財産の中で最も大きいのは「実家」という人は多いだろう。多額の税金を納めなくてはならず、家を売却して納税資金を工面する、といった事態も起こりうる。そうした悲劇を避けるために設けられているのが「小規模宅地等の特例」だ。

 フジ相続税理士法人の高原誠税理士は特例をこう説明する。
「故人の配偶者や同居(同一生計)親族が、故人または故人と同一生計の親族の自宅敷地を相続した場合、その土地の評価額を『8割引き』(330平方メートルまで)にするという特例です。例えば夫が死亡して妻が自宅敷地を相続した場合、1億円の評価額であっても2000万円とみなされます。相続財産額が基礎控除の範囲内に納まり、納税額がゼロになるケースも少なくありません」
 このおトクな特例要件の一部が4月から厳格化され、"80%オフ"の税制優遇を受けられないケースが今後、出てくるという。
 小規模宅地の特例をおさらいしておこう。上の表のように、特例を受けられるのは故人の配偶者または「同居(同一生計)」していた人であることが前提だが、そのどちらもいない場合、持ち家に居住していない親族が、被相続人(亡くなった人)の自宅を相続した時も認められる。
 税理士法人チェスター代表の福留正明税理士はこう解説する。
「親と同居していたけれども、結婚などの事情で別居するケースはよくあります。そうした人などを救済する意味で、相続前の3年間、自分または配偶者が所有する持ち家に住んでいなかった人には税制優遇を認めているのです。家を持たないという意味で『家なき子』特例と呼ばれ、今回の改正では、この家なき子が厳しく制限されました」
 家を持たない人に対する相続税の支払いが生活基盤を脅かすことを防ぐ、というのが制度の本来の趣旨なのだが、どうにかして特例の適用を受けようと、「家あり子」なのに「家なき子」に見せかける行為が数多く生まれてきた。
「たとえば、持ち家に住みながら家屋の所有名義を親族や同族会社にすることで、作為的に『家なき子』になる節税対策が横行してきたのです」(福留さん)
 遺言書を書いて孫に相続させる節税策をとる人も出てきた。
「相続人である子は自分名義の自宅があるが、そこに同居している孫については持ち家の所有権がないような場合、この孫に自宅を相続させるよう遺言を遺(のこ)せば8割減の特例が使える、というわけです」(同)
「孫に相続させる」と書いているケースでは、書き換えの必要が出てくる。
「遺言信託」を取り扱う三菱UFJ信託銀行は、今回の税制改正に伴い、遺言の内容を書き換える必要が出てくるケースがあるとみて対策をとった。
「遺言信託を契約していただいている約3万3000人のお客さまに4月末から税制改正に関する情報を記載した書面を送付しています」(同行広報室)
 家族を持ち家に残して自分だけ親と同居する場合も注意したほうがいい。
「『住民票を移して同居の形式を整えればいいのではないか』というご相談をよく受けますが、税務署は同居実態があるか、電気やガス料金を調べたり近所にヒアリング調査も行い、形式要件ではなく実態で判断しますので、ごまかしは通用しません」(福留さん)
 節税対策として流行したアパート建設も、相続直前に貸付事業用にした土地は特例の対象外となった。
「親が亡くなる直前に駐車場やアパート経営を始めても200平方メートルまでは評価額が5割減になる特例を受けられていましたが、今後は相続開始3年以内に賃貸を始めた宅地は除外されます」(同)
 行き過ぎた節税対策に歯止めをかけることは当然だが、「特例が適用できなければ、これまで払わなくて済んだ相続税を何百万円も払わなければならない人も増えると考えられ、サラリーマン家庭にも打撃が大きい」と高原税理士は言う。
 法律や通達は頻繁に改正される。節税対策がアワになるどころか損しないように最新情報をチェックしておきたい。

 ◇後をたたない介護トラブル ガッチリ遺産をもらう「奥の手」

 介護に関しては、「長男の嫁」など相続人以外の親族でも、介護の"貢献分"を請求できるようになるが、実効性には疑問の声も多い。

「これまでも、法定相続人で介護に貢献した人には、『寄与分』といって遺産の取り分を増やす制度がありましたが、介護は親子間の扶養義務の範囲内、と寄与分が認められることは少ないのが現実です。介護をお金に換算することは難しいですし、誰にいくら請求するのかという問題があります。これまで以上に介護を巡ってモメる可能性があります」(福留さん)
 長年義父を介護してきた長男の嫁がどうしても遺産を欲しがる、といったケースはどうすればよいのか。先の高原さんはこう話す。
「『嫁に財産を遺贈する』といった遺言書を生前に義父に書いてもらう、生前贈与を受ける、あるいは嫁と養子縁組をして法定相続人になるという方法があります」
 2015年の相続税法改正以降、「養子縁組が増えた」と話す税理士は少なくない。高原さんも「肌感覚だが1割程度増えた」と話す。
 昔は養子縁組を敬遠する人が多かったが、17年1月、最高裁で「相続税の節税目的の養子縁組も有効」との判決が出たこともあり、抵抗を感じない人が増えたともいわれる。
「相続人を増やせば基礎控除が増えるため、節税対策になるのです。息子の嫁や孫1人を養子にするだけで財産規模などによっては数千万円単位で節税できるケースも少なくありません。ただし、元々の相続人の取り分が減ることになるので不満が出る可能性があるなどトラブルに発展するリスクがあることは考慮すべきです」(高原さん)
 いずれにせよ、介護を巡る"争族"は、親族間の亀裂を深め、ドロ沼に陥りがち。介護が始まる前から、親や兄弟としっかり話し合っておくことが大事だ。
「終(つい)の住処(すみか)は自宅を望むのか、有料老人ホームを選ぶのか、といった親の希望をじっくり聞いておき、介護が始まった時には兄弟でそれぞれの役割分担や権利について話し合っておくことです」(同)
 高原さんが遭遇したこんなケースがあった。
 都心の大地主で約8億円の遺産があった女性が亡くなった。一人息子は単身赴任で、母親の面倒をヘルパーに任せていたという。ところが母親は、いつの間にかヘルパーと養子縁組し、さらに「ヘルパーにすべての遺産を譲る」という公正証書遺言を作成していた。
「そしてお母さまが亡くなり、ヘルパーは遺言書通り8億円の全財産を取得しました。時間をおかずヘルパーは相続した不動産を売却して田舎に帰ってしまったそうです」(高原さん)
 財産をとられ、うちひしがれた息子は「少しでも遺産を取り戻したい」と遺留分(一定の相続人が最低限取得できる財産割合。このケースの場合は4分の1)の減殺(げんさい)請求を行い、最終的には2億円ほど取り返したというが「息子さんは不満でいっぱいでした。親が元気なうちから、どのような介護をするかをしっかり話し合い、親子で納得して遺言書をつくっておくことが重要です」と振り返る。

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