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得する年金&シニアの働き方 7大マル秘テクニック全公開

2018年5月20日号

 公的年金をもらい始める年齢を、「70歳」を過ぎても選べるようにする制度が検討されるなど、年金の制度改正に向けた議論が始まった。老後が長くなる一方で、年金は細っていく。得する年金の受け取り方や働き方の「7大マル秘テクニック」を探った。

 2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」で、公的年金の受給開始を70歳より後にできる制度変更の検討が明記された。4月11日の財政制度等審議会では、年金の支給開始年齢を現行の「65歳」から「68歳」に引き上げる案が提示された。厚生労働省は、定年延長が広がっていない現状では「65歳」を堅持する方針とされるが、いずれにせよ年金を巡る状況は厳しい。
"年金自動カット装置"ともいわれるマクロ経済スライドは強化され、将来的に2~3割減は覚悟する必要がある。どう対策をとればいいか、みていこう。

 <1>年金の手取りは支給額の8~9割と見積もる

 近著に『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる』(集英社)などの著書がある社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんはこう話す。

「100歳以上の高齢者は直近のデータで約6万7000人ですが、調査開始当時の1963年は153人でした。50余年で400倍以上に増えているのです。60代でリタイアし、後は年金でのんびり過ごす、といった昔の常識はもはや通用しません。誰もが100年人生を念頭に、資金ショートしないよう働き方やお金について作戦を立てる必要があります」
 厚生労働省の「簡易生命表」によると、現在60歳の男性は83歳、女性は88歳超まで生きる(左の表参照)。さらに驚きは、2016年生まれの男性の4人に1人、女性は2人に1人が90歳まで生きることだ。井戸さんは老後の「見える化」を勧める。
「自分がどれぐらいの年金をもらえるのかを知ることから老後の準備は始まります。『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』でおよその額を把握しましょう」
 ねんきん定期便は、毎年誕生月にハガキが届く。35、45、59歳の節目年齢には、より詳細が書かれた封書がくる。
「50歳未満は、これまでの加入実績に応じた年金の見込み額ですが、50歳以降は、現在加入している年金制度に60歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した老齢年金の見込み額が記載されていますので、現実に即したマネープランを立てることができます」(同)
「ねんきんネット」を利用すれば、後述する「繰り上げ・繰り下げ」や「在職老齢年金」などさまざまな条件に応じた年金見込み額の試算ができる。
 定期便に書かれている額が満額受け取れるわけでないことも頭に入れておくべきだ、と井戸さんは話す。
「年金からは介護保険料や後期高齢者医療保険料が原則天引きされます。一定以上の収入がある人は所得税や住民税も払わなければならないので、手取りは支給額の8~9割になります」
 年金月額22万~23万円の世帯では19万円程度の手取りということになる。今後も社会保険料がアップしていくことは規定路線だけに、厳しめの見積もりが必要だ。

 <2>70歳に年金を繰り下げると42%増 増額なしで一括受け取りも可

 経済コラムニストの大江英樹さんは現在66歳。あと4年は年金を受け取らずに働いた収入で日々のやり繰りをし、70歳になったら「42%増し」になった公的年金を受け取るつもりだという。

 年金の「繰り下げ」「繰り上げ」をおさらいしておこう。公的年金は原則65歳から受け取れるが、この受取時期は手続きをして前後させることが可能だ。
 前倒しするのが「繰り上げ」、66歳以降に遅らせるのが「繰り下げ」だ。年金問題研究会代表の秋津和人さんはこう解説する。
「年金を増やせるのは『繰り下げ』で、1カ月繰り下げるごとに0・7%ずつ増えます。運用利回りに換算すると、1年当たり8・4%もの"ハイリターン"。65歳の支給開始を70歳まで5年繰り下げた場合は、42%も受給額が増えます」
 年200万円の年金額だとすると284万円に膨らむわけで、増額は生涯にわたって続く。国は70歳の上限を「75歳」までに延ばすことを検討しているのだ。
 しかし、厚生労働省のデータによると、繰り下げを選んでいる人は受給者の1%程度にすぎない。65歳以降も安定した収入がないと選択しづらいことや「年金制度は破綻する、などとあおられることなどから、もらえるものは早くもらわないと損だと考える人が多い」(井戸さん)からだとされる。
 繰り下げると70歳までの5年間は年金を受け取れない、と思い込んでいる人もいる、と秋津さんは指摘する。
「厚生年金も国民年金も、66歳から1カ月ずつ好きな時に繰り下げ請求できます。また、老齢基礎年金(国民年金)と厚生年金のどちらか一方を繰り下げたり、両方繰り下げたり、さまざまなバリエーションが選べます」
 例えば国民年金は67歳3カ月から、厚生年金は70歳から受給する、といったことも可能なのだ。
 長生きするつもりで繰り下げを選んだものの、体調が悪くなったりする場合もあるだろう。その場合も軌道修正ができる、と大江さんは言う。
「例えば70歳まで繰り下げようとしている私が、68歳で大きな病気になってしまった場合、65歳からの3年分を一括して受け取ることができるのです。本人が『年金の請求手続き』をすれば、その時点から支給が始まります。ただし、この場合は繰り下げによる年金額の増額はありません」
 繰り下げ支給開始前に本人が亡くなってしまった場合も、遺族らが未支給分を受け取ることができる。
「繰り下げをしていた人が68歳で急死したとすれば、65歳から死亡した時までの約3年分の年金が、生計を同じくしていた3親等内の親族にまとめて支給されます。『未支給年金』と呼ばれ、5年で時効になります」(井戸さん)
 一方の「繰り上げ」は1カ月0・5%ずつ減額され、60歳まで繰り上げると受給額は30%減る。一度繰り上げ受給を選ぶと、変更や取り消しはできない。繰り上げ受給を選んだ後、65歳までに障害を負った場合、障害年金を受給できないデメリットもある。

 <3>年金受給中も働いて増やす 働いても年金をカットされない方法

 60歳以降も厚生年金に加入して働くと、保険料は徴収されるが、加入期間が長くなる分、将来の受給額は増える。

「厚生年金に加入して1年間長く働くと、年金額は1年でおよそ2万円増えます。妻が60歳になるまでは国民年金の第3号被保険者になりますし(夫65歳まで)、妻を健康保険の被扶養者にもできます。病気で4日以上休む時も、給与の3分の2の傷病手当金が支給されるなどメリットは大きい」(秋津さん、以下同)
 ただ、厚生年金に加入して60歳以降も働く場合、年金がカットされるケースがある。「在職老齢年金」と呼ばれ、64歳までと65歳以降で線引きが異なる。
「64歳までは、給料と年金の合計が28万円を超えると、超えた分の『2分の1』が年金からカットされます。それをいやがる人が多いのですが、正社員の4分の3未満の時間で働いたり、厚生年金が適用されない小規模な個人事業所などで働くなど厚生年金に加入しない働き方をすれば年金は減額されません」
 一方、65歳以降は「月給+年金」が46万円まで減額されない。
「60歳で退職した場合、給与は定年前より6~7割に下がるのが一般的です。46万円に達するには月給約35万円以上が必要なので、該当する人は少ないでしょう」
 定年後に減った給与を補填(ほてん)する仕組みとして「高年齢雇用継続給付」という制度がある。
「60歳以降の月給が60歳時の75%未満に下がった場合に雇用保険から支給されます」

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