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こうすればクスリ代を節約できる! 薬局・ドラッグストア 絶対「得する裏ワザ」

2018年4月22日号

 処方箋で処方される薬は、どこでも同じ価格と思い込んでいる人もいるだろう。だが実際は、どの薬局を選ぶかで歴然と差が出る。調剤報酬の改定で、今月から薬価などの仕組みが変わった。身近な割に知らない薬局のからくりを知って、賢く健康長寿を目指したい。

「あれっ? いつもよりも薬代がちょっと安い!」
 高血圧症の治療をしている牧野信明さん(55歳・会社員・仮名)は、医師に処方してもらった薬を継続的に服用している。薬は、いつも同じ薬局で出してもらっているが、明細書を見ると4月の自己負担額が、前月より150円安くなっていたのだ。薬の種類、数は同じなのに、なぜ医療費が変わったのだろうか。
「今年は2年に1回行われる診療報酬の改定時期で、病院や診療所、薬局などの医療費の単価が4月から見直されました。そのため、牧野さんの薬代にも変化が出たのです」
 こう話すのは、『マンガではじめる薬局マネジメント』(南江堂)の著者で薬剤師の水八寿裕さんだ。
 日本では、病院や診療所などで受ける治療や医薬品のほぼすべてを健康保険で利用できる。その価格は「診療報酬」と呼ばれており、国が単価を決めている。価格の決定は、物価水準や人件費なども反映されるが、いちばん影響しているのが国の医療政策だ。
 医療機関は高い診療報酬のついた医療行為や技術を積極的に取り入れるので、国は充実させたい診療科や医療行為の報酬を引き上げて医療機関を誘導している。つまり、診療報酬は国が目指す医療体制を作るための誘導策として使われているわけだが、今、急がれているのが「地域包括ケアシステム」の構築だ。
 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年以降は、医療や介護を必要とする人が急増することが見込まれている。そこで、これまでのように病気の治療の多くを病院だけに頼るのではなく、地域全体で患者を治し、支える医療や介護の体制作りが行われている。その中心となる施策が「地域包括ケアシステム」。介護状態が進んでも住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らせるように、病院や診療所、介護施設などが連携して、地域全体で高齢者を支える仕組みを作ろうとしているのだ。地域にある薬局やドラッグストアにも、その一翼を担うことが期待されている。
「薬局の報酬は『調剤報酬』と呼ばれますが、今回は積極的に在宅業務を行っていたり、薬剤師の専門性を発揮して患者さんの服薬管理に貢献したりしている薬局に高い報酬がつけられました。一方、単に薬を揃(そろ)えて出すだけの薬局の報酬は下がっています」(水さん)
 冒頭の牧野さんが通っている薬局は、国が求める在宅業務などは行っていない。今回の改定で調剤報酬の加算が取れなくなり、その結果として牧野さんの薬代も安くなったというわけだ。
 少し複雑だが、調剤報酬は「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」で構成されており、この組み合わせで医療費が決まる。
(1) 調剤技術料=薬を揃えたり、水薬や軟膏を作ったりする技術料。調剤基本料と調剤料で構成されている。
(2) 薬学管理料=薬を安全に使うために、服用履歴を記録したり、おくすり手帳に記入したりする管理料。
(3) 薬剤料=薬剤そのものの料金で、国が決めた薬価基準に沿って計算される。
 ただし、「24時間対応している」「在宅業務を行っている」「麻薬を取り扱える」など、その薬局が備えている機能に応じて、プラスαの加算点数もつく。調剤報酬は複数の要素で構成されているので、一概に「ここの薬局が安い」と断言できないし、命に関わるので安いのがよいわけでもない。だが、調剤報酬の仕組みが分かると、自分のニーズに合った薬局選びの判断材料になる。そこで、今回の改定を踏まえて、上手に薬局を利用するための五つのポイントをみていこう。

 ◇薬局によって負担額にこれだけの差

 薬代を計算するときのベースになるのは、前述した(1)の調剤技術料に含まれている「調剤基本料」だ。今回の改定では、その薬局が1カ月に受け付けた処方箋の回数、そのうち特定の医療機関のものの割合(集中率)によって上図のように5段階になった。
「薬は、正しく使えば病気の回復を助けてくれますが、飲み合わせが悪いと健康被害を招くこともあります。薬を安全かつ有効に服用するには、患者さんが複数の医療機関から出された処方箋をひとつの薬局で管理して重複投与などを確認する必要があります」(水さん)
 処方箋の集中率が低い「調剤基本料1」の薬局は、患者の服薬情報を総合的に管理していると評価され、今回の改定でも基本料が維持された。だが、集中率が高く扱っているのが特定の医療機関の処方箋ばかりで、訪れた患者が他の医療機関で出された処方箋の内容を把握していない大手チェーン薬局、病院の敷地内薬局などは基本料が大幅に引き下げられた。つまり、患者の自己負担額も安くなるということ。
 患者が支払う自己負担額は、「調剤基本料1」の薬局は処方箋の受け付け1回につき120円(70歳未満で3割負担の場合、以下同)。「特別調剤基本料」が適用される病院の敷地内薬局は1回につき30円なので、調剤基本料だけでも90円の差がつく。「たまたま食あたりで受診したけれど、ふだんは健康で病院にほとんど行かない」という人は、調剤基本料の安い薬局を利用するのもいいかもしれない。だが、牧野さんのように継続的に薬を服用していたり、複数の医療機関にかかったりしている人は、薬の一元管理が得意な薬局のほうが安心だ。
「調剤基本料は、薬局の規模を知る目安になります。調剤基本料がいくらかは薬局内に掲示しているので、自分に合う薬局選びの参考にしてください」(水さん)

 ◇「おくすり手帳」のあり、なしで40円の差も

「薬局におくすり手帳を持っていくのは損だと思っている人は、すぐに考えを改めてください」(水さん)
 おくすり手帳は、複数の医療機関から処方された薬の名称、用量などを時系列で記録することで、薬の相互作用や重複投与による健康被害を防ぐために作られたものだ。当初は一部の薬局の無料サービスだったが、医療費の削減効果などが期待されて、2000年に調剤報酬がつくようになった。
 おくすり手帳への情報提供は、(2)の薬学管理料の「薬剤服用歴管理指導料」を算定するための要件になっている。手帳への情報提供にお金がかかっているのは事実で、手帳を持参すると料金が高くなったときもあったが、それは過去の話だ。国民におくすり手帳の携帯を促すために、16年の改定時に手帳を持参した人の医療費が安くなるように見直されている。
 おくすり手帳を持っていくと医療費が安くなるのは、「調剤基本料1」を算定している薬局で、6カ月以内に再利用することが条件。
 毎月、薬局に行く牧野さんは、手帳を持っていけば薬剤服用歴管理指導料の自己負担額は120円。持っていかないと160円になり、1回40円の差が出る。
「利用する薬局はひとつに決めて、毎回手帳を持参することをお勧めします。医療費が安くなるだけではなく、残薬の調整や飲み合わせのチェックもしてもらいやすくなります」(水さん)
 調剤基本料1以外の薬局の薬剤服用歴管理指導料は、手帳を持参してもしなくても1回あたり160円。指導料は変わらないが、水さんは「どの薬局に行く場合でも、おくすり手帳を持参してほしい」と言う。
「東日本大震災や熊本地震の被災地では、おくすり手帳を持っていた被災者の方は、避難所などでスムーズに診療を受けられました。薬局に手帳を持参しても料金が高くなるわけではないので、ふだんから手帳を携帯する習慣をつけましょう」

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