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グレート老後を目指す! 荻原博子が指南 脱・お任せ主義でこんなに節約できる!

2018年4月 8日号

幸せな老後への一歩/特別編 

 超高齢社会を前に老後の費用をどう確保したらいいかは、国民的な不安の種だろう。経済ジャーナリストの荻原博子氏は『荻原博子のグレート老後 人生100年時代の節約術』(毎日新聞出版)で、保険や投資商品、自宅など大きな支出を賢く減らす方法を明かした。

――気になる「老後の費用」について、〈1500万円前後あれば介護費用と医療費はなんとかなりそう〉と『グレート老後』にありました。夫婦2人で最低1500万円は必要なんですね。
荻原 介護期間は人によってかなり差がありますが、実際に介護をした人へのアンケート調査の結果は平均約550万円、2人で約1100万円。それに医療費が2人でざっくり200万~300万円と見ておけばいいでしょう。合算すると2人で1500万円ぐらいになります。働けるうちはできるだけ長く働いて、そのぐらいの現金は貯(た)めたほうがいいと思います。
――支出を削るため、安く家を建てる方法があることを書かれました。
荻原 自分でできることは自分でするのが一番です。家を建てる時はハウスメーカーの設計プランから選ぶことが多いかと思います。でも、アメリカでは中古住宅を買って自分でリフォームし、評価額を上げて転売益を得ようとするのは当たり前の考えです。
 家に限った話ではなく、日本人は業者にお任せしすぎて損をしていると思うんです。投資する時は銀行が提案する投資信託から選ぶし、保険に入る時は営業員が勧めるプランに入りますよね。でも、業者が用意した「パッケージ」は高額な手数料がかかっていたり、余計な機能や用途が付いていたりします。「お任せ料」は高くつくんです。
 例えば、生命保険に「入院給付金特約」が付いたタイプ。給付金をもらえる期間は60日か120日を選ぶことが多いのですが、今は精神的な病気以外では1カ月以上入院させてくれる病院は少ないのです。がんの治療のため入院しても1週間や10日で退院させられます。仮に半年間、入院できたとしても、医療費が高くならないための「高額療養費制度」があるので、自己負担額として50万円もあれば足ります。だから入院給付金特約が本当に必要なのかは大いに疑問です。
――かつて契約した生命保険は解約したほうがいいのでしょうか。
荻原 それに答えるには、解約すべきでないケースを説明したほうが分かりやすいでしょう。1994年以前の終身保険は運用利回りが3・75%以上と、今の預金ではあり得ない高い利回りを手にできます。非常に有利なので残しておいていいと思います。
 また、18歳未満の子どもがいる人は生命保険に入る意味があります。サラリーマンの夫が亡くなったケースを考えてみましょう。会社から死亡退職金が出るほか、収入や子どもの数などにより多少異なりますが、子どもが18歳になるまで月15万円前後の遺族年金をもらえます。夫名義の住宅ローンがある場合、民間の金融機関で借りたものだとほとんどが団体信用生命保険とセットになっていますので、残債は保険と相殺されます。ローンを支払う必要がなくなった家に住み、月15万円前後が支給されたら、妻はパートで働けば生活していけるでしょう。
 そこで問題になるのが、子どもの教育費です。今、大学まで行かせるなら1人1000万円ぐらいは見積もっておく必要があるので、子ども1人につき1000万円前後の生命保険に入っておくといいでしょう。
 けれど、子どもが巣立てば生命保険の保障は減らしても構いません。子どもが独立しても保険料を月5万円払っている人がいますが、月5万円を貯蓄に回せば年60万円、20年間で1200万円も貯まるのです。
――CMでは「70代、80代でも入れます」などと言っていますが......。
荻原 そんな年齢になると、長生きするリスクのほうが高いですよ。100歳まで生きるとしたら、70歳時点でまだ30年もあります。その時、必要なのは現金です。先ほどお話しした入院給付金特約が付いた保険、それに死亡保険金がたくさんもらえる保険に入るだけのお金があれば貯めておいたほうがいいかもしれません。
 無駄な保険に入らないためには、保険会社のパンフレットに載っている「お任せ」の商品を選ばないことです。その代わり、自分の人生を紙に書き出してみる。
 例えば、今35歳の男性。2人の子どもが大学を卒業すると想定されるのは50歳だとします。それより前に死んでしまうと保険が必要ですね。
 すると、保険が必要な期間は最長で35~50歳、必要な保険金は子ども2人で2000万円。保険会社の営業員に提示して、毎月の保険料とその総額を見積もってもらうのです。入るべきは一番安い会社です。
 無駄な特約が付かないシンプルな保険なのに保険会社によって保険料が違うのは、営業員のマージンなど保険会社の経費に差があるからです。生命保険会社はみな金融庁が所管の「標準生命表」という日本人が死ぬ確率に則って保険料を計算します。そこに経費をプラスしますが、インターネット専業の保険会社は営業員を雇わず、その分保険料が安くなるのです。各社のサイトなどで保険料を比べてみましょう。
――保険以外ではどんな「お任せ」に気を付けるべきでしょうか。
荻原 投資全般です。私に言わせれば、外貨建て生命保険、投資信託、外貨預金、純金積立、個人年金はみなやめたほうがいい。契約しないほうがいい。
 なぜそう思うかというと、銀行に勧誘されるがままに投資して大損する人が本当に多いからです。せっかくの楽しい老後になるはずが、「投資に失敗して退職金が半分になった」なんていう事態になれば寿命が縮まりますよ。でも、定年退職した人は「自宅にいると毎日のように銀行から投資の勧誘電話がかかってくる」と口々に言います。郵便局にあるゆうちょ銀行の窓口で、「毎月分配型」の投信を勧められたという人も多いでしょう。ただ投資でリスクを取るのは、金融機関でなく皆さん。覚悟がなければ手を出さないほうがいい。
――株や債券の運用を任せる投信はまさに「お任せ」型の商品でしょうね。
荻原 それもありますが、窓口で投資商品を買わないほうがいいのは、銀行が取る手数料が高いからです。銀行の窓口で投信を買うと買い付け額の3%前後の購入時手数料と、お金を預けている間は信託報酬として3%前後を支払わなければなりません。また、解約する時も、1%前後の手数料がかかります。多くの人が、銀行で投信を買う時には窓口へ相談に行きますが、窓口に並べてある投信は、購入費用やランニングコストとなる信託報酬などが高いものが多いのです。
 では、なぜ銀行は躍起になって投資を勧誘しているのでしょうか。日本銀行が2年前に始めたマイナス金利政策によって経営状況が悪化し、投資商品の販売が命綱になっているからです。
 元来、銀行は人々から預金を集めて企業などに貸し、その差益を得る商売なのに、それができない。2年前、日銀は当座預金にお金を預ける一般の銀行に対し「これ以上、お金を持ってきたらマイナス金利をかけるぞ」と言いました。日銀の狙いどおりに銀行が貸し出しを増やしたのなら、当座預金残高は減ったはずです。
 しかし、実際には2年前より約100兆円も増えています。銀行は損すると分かっていながら日銀に預けているのです。それほどまでに貸し出しができないことを示しています。銀行が貸したい企業は、内部留保が積み上がって借りる必要がありません。逆に銀行に借りたい企業に対しては、「信用できない」と貸さない。銀行は借り手の将来性を見極めて貸すのがあるべき姿だといいますが、日本にはそういう能力がある銀行は本当に少ないのです。
 本業で儲(もう)けられない銀行は、収益を確保できる個人向けのカードローンと投資商品の販売に必死になっているのです。

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