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百歳ごはん 元気な超高齢者は何を食べているのか/上編 日野原重明「105歳の食卓」

2018年3月 4日号

 寝たきりや認知症などにならずに長生きする「健康寿命」は食生活が鍵を握るが、元気で100歳を迎える人たちは一体何を、どんなふうに食べているのか。3回連続シリーズの初回は、昨年7月に惜しまれながら他界した医師・日野原重明さんの「百歳ごはん」を紹介する。

「ひゃくさい、ひゃくさい」のCMで"きんさんぎんさん"が一躍人気者になったのが1991年のこと。あれから27年。昨秋の厚生労働省の発表によると、100歳以上の人は6万7824人と過去最多を更新した。10年前の約2倍、20年前の約8倍と増え続けている。人生100年時代のささやかな願いは、健やかに暮らし、日々のごはんをおいしく食べることだろう。
 100歳を迎えた高齢者を"百寿者"と呼び、その食生活や運動などを研究している国立長寿医療研究センター副院長・荒井秀典医師は、「100歳まで年齢を重ねると、どうしても食は細くなりがち。食べる量は、往年を100として80ぐらいまで減ったとしても、質が高くて中身の濃いものを。そしてバラエティーに富んだものを食べることが大切」と話す
 超高齢者の食事といえば従来、白身魚や乾物、野菜の煮しめなど、歯がなくても食べられるあっさりしたものだった。しかし、最近では高齢者にこそ"肉食"を推奨する専門家もいる。
 ならばリアルな100歳は何を食べているのか。長寿研究者たちが最も興味を持っていたのが、聖路加国際病院名誉院長・日野原重明さんの生前の食についてなのだという。

 ◇衰えない執筆活動を支えた牛ヒレステーキのディナー

 日野原さんは昨年7月に105歳で亡くなったが、100歳を過ぎても、執筆など旺盛な活動力は衰えなかった。それを支えていたのが日々の食生活だったことは間違いないだろう。

 日野原さんの「百歳ごはん」の内容を教えてくれるのは、次男の妻・日野原眞紀さんだ。十数年前から同居し、日野原さんの食事の献立を考え、調理してきた。プライベートな覚書として、時折、携帯電話の写真とともに献立を記録してきたという。その一部をエピソードを交え、本誌で公開してもらうことにした。
 左の写真は、日野原さんが100歳の時の、ある日の夕食メニュー。メインディッシュは牛ヒレステーキ130グラム。熱したオリーブオイルでガーリックを焼き、香りをつけたところで、牛ヒレ肉の両面をこんがりと焼く。醤油(しょうゆ)と赤ワインで調味して熱々を盛りつけた。サイドメニューには、焼き茄子(なす)、玉ねぎのソテー。生野菜は小さなボウル1杯分。これが、本当に100歳の夕食なのだろうか?
「ええ、義父(ちち)は、肉が好きでした。牛ヒレ肉をステーキにしたら、100~130グラムはぺろりと食べてくれました。そして生野菜サラダも必ず。戦前から西洋式の食生活になじんでいたようで、生野菜をぽりぽりとおいしそうにいただいていましたね。米飯はあまり食べなくて、せいぜい小さなお茶碗(ちゃわん)3分の1か半膳でした」(眞紀さん)
 前出の荒井医師にこのメニューを見てもらった。
「ほおお、日野原先生は肉が中心でいらしたのですね。脂肪が少ないヒレをオリーブオイルで焼いて......など、上質なたんぱく質の取り方がさすがです。米飯などの炭水化物をあまり召し上がらないのは、長年の先生ご自身の習慣だったのでしょう。そのほうが胃腸もすっきりしたのかもしれません。一般の人なら、ここに白米を加えると、とてもバランスがいいですね」
 荒井医師はそう解説する。

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