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モメるぞ危険! 40年ぶり改正の新常識 新相続ルールの落とし穴

2018年2月25日号

 今国会で、約40年ぶりとなる相続制度の改正が行われる。相続人でない人でも介護の貢献に見合ったお金を請求できたり、故人に長年連れ添った配偶者の居住権を確保するなど、超高齢社会の到来に向けての制度改正だ。しかし、遺産分割の仕方が、より複雑になり、相続バトルに拍車をかける恐れもある。

 ◇妻の「居住権」新設 後妻が居座る可能性も

 東京都内の喜子さん(76)は3年前、夫をがんで亡くした。遺(のこ)されたのは喜子さんと子ども2人。自宅は資産評価額3000万円と現預金1000万円。妻の法定相続分は2分の1の2000万円、子ども2人の相続分はそれぞれ1000万円になる。
 四十九日が済むと、長男とその嫁が喜子さんのもとにやって来て、こう言い放った。
「お母さん、僕たちは法定相続分はきちんと欲しいのです。この家を売ってそのお金で遺産を分けてもらえませんか。僕たちには家のローンも残っているし、子ども2人の大学進学費用もかかる。老後資金を貯(た)めることもできないんです」
 喜子さんは、家族4人で過ごした住み慣れた家に愛着がある。死ぬまで住み続けたいと思っていた。「でも、相続する権利は子どもにもありますし......」と複雑だ。
 喜子さん一家のように、預貯金が少しで、資産は不動産(実家)ぐらい、という家庭は多い。子どもの取り分が少なくなるので、住宅を売却して現金化するため、高齢の配偶者が住んでいる家から退去を迫られるケースもあった。
 そこで、今回新たに新設されるのが「居住権」だ。住宅の権利を所有権と居住権に分割し、配偶者が居住権を取得すれば、所有権が別の相続人や第三者に渡っても、配偶者自身が亡くなるまで、ずっと住み続けることができる。弁護士・公認会計士の眞鍋淳也さんはこう話す。
「居住権の評価額の算出方法はまだ確定していませんが、配偶者の年齢の平均余命などから算出され、高齢であるほど安くなり、所有権より低く設定されます」
 喜子さん一家の例でいくと、評価額3000万円の自宅を、妻の居住権(評価額1000万円)と子ども2人の所有権(評価額1000万円ずつ)という分け方ができるようになる。
 だが注意が必要だ。
「妻の年齢が若い場合、居住権の評価額が所有権を相続するのとあまり変わらないぐらい高額になる可能性もあります」(同)
 居住権は住み続ける権利であって売却する権利ではない。自宅で1人で暮らすのが難しくなって施設に入るような時に権利は譲渡できない。
 法律上の妻を優遇する改正だが、現実には、「子どもが遺産欲しさに実の母親を実家から追い出すというケースはあまりない」と専門家らは口をそろえる。では、どんなケースで居住権が利用される可能性があるのだろうか。WT税理士法人の板倉京(みやこ)税理士はこう話す。
「たとえば、先妻に先立たれた父親が熟年再婚し、その後、亡くなったとします。後妻には籍を入れていれば、相続権があります。父親の子どもたちからすると、自分たちが生まれ育った実家に血のつながらない配偶者が住み続けることには抵抗がある。『お父さんは亡くなったのだから出ていってほしい』と主張するかもしれません。相続人の同意がなければ、後妻は居住権を持つことはできません。でも、後妻さんに居住権を与えるという遺言があれば、家族の意見より遺言が優先されるため、後妻さんが居座り続けるケースが出てくるかもしれません」
 また、現行法では遺産分割の際、生前贈与された自宅も遺産に含めて計算されているが、結婚20年以上の夫婦で自宅を生前贈与されたり、遺言で譲り受けた場合は、遺産分割の対象から外す。これも、居住権と同様に、対象は「妻」に代表される配偶者を守ろうとする制度改正だ。
 しかし、法律上の配偶者だけを保護する内容で、事実婚などは相続の対象外だ。高齢者の再婚では事実婚を選ぶカップルも多い。フジ相続税理士法人の高原誠代表税理士は、こう指摘する。
「同性婚やLGBTなど、家族のあり方は、時代とともに大きく変化してきています。法律上の夫婦でなければ相続権が発生しないのは、その人たちの権利が保護されていないに等しい。LGBTの問題は、20年、30年後には社会問題になってくることが予想されるため、タブー視することなく今から法整備を進めておかなくてはなりません」

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