くらし・健康詳細

イチオシ
loading...

「人生100年時代」を総チェック! 医師・近藤誠×経済アナリスト・森永卓郎 中編  

2018年2月 4日号

◇糖質制限ダイエットの「罠」

▼激太り、2型糖尿病...「余命半年」 宣告からの生還

▼「ライザップ」 減量作戦の一部始終

「不摂生の大見本市」と言われた経済アナリストの森永卓郎氏。超肥満体形が劇的に改善された姿がCMで披露され、話題になった。異色対談の中編では、がん治療や医療常識に警句を発してきた近藤誠医師が、森永氏のダイエットに潜む危険性を鋭く指摘した。

 大食漢、超肥満、そして糖尿病......。今を去ること約10年前、経済アナリストの森永卓郎氏(60)は、主治医から「あなたが60歳を迎える姿を私は全く想像できない」と警告されるほど、"不摂生"を地で行く生活を送っていた。
 その森永氏が生活習慣の改善を目指して挑んだのが例のライザップ(注1)。有名人チャレンジャーとして同社のテレビCMにも登場した森永氏は、わずか4カ月で19・9キロもの驚異的な減量に成功するが、あの近藤誠医師(69)は「糖質制限ダイエット(注2)には死を招く危険もあるので要注意」と指摘する。
 主治医も呆(あき)れ果てた満身創痍(そうい)の森永氏が挑んだ減量作戦は医学的に正しかったのか。そして、いまだ大流行の糖質制限ダイエットにはどんな落とし穴が潜んでいるのか――。「人生100年時代」を総チェックする新春異色対談の第2弾では、知っているようで意外に知らないダイエットの真実にズバリ斬り込んだ。
 ×  ×  ×
――森永さんは幼少の頃から太っていたのですか。
森永 いえ。ウチはそれほど裕福ではありませんでしたから。ところが、小学1年の時に父の仕事の関係でアメリカに渡ったら、日本では高嶺(たかね)の花だった肉とアイスクリームが激安だったんです。それをむさぼり食べているうちにバーンと太ってしまって(笑)。
近藤 以来、ずっと肥満が続いていたのですか。
森永 大学を卒業して就職した頃は、ダイエットで痩せていたんです。それが2003年に出した『年収300万円時代を生き抜く経済学』がベストセラーになり、ほとんど寝る時間もないほど仕事が忙しくなるにつれて"激太り"が始まったんです。とにかく、何かを食べ続けたり飲み続けたりしていないと、肉体的にも精神的にも持ち堪(こた)えられないような状態でした。
――具体的にどれほどの忙しさだったのですか。
森永 10年くらい前のピーク時には、テレビやラジオのレギュラー番組が合計17本、雑誌や新聞などの連載がデイリーも含めて合計36本あり、毎日、少なくとも7、8本の締め切りに追われていました。しかも、ラジオのレギュラー(月曜から金曜)が毎朝5時のスタートで、夜中の12時に寝て2時半には早くも仕事がスタートするという、一日たりとも休みのない生活が何年も続いたのです。

◇「多忙とストレスで過食に陥る」

近藤 「ほとんど寝る時間もない」というのは大げさではなかったのですね。

森永 現在は5時間くらいの睡眠時間を何とか確保していますが、当時はラジオの生放送でもCMが入った瞬間に"寝落ち"していました。前に座っている進行役の女子アナが、CM明け寸前になると、私の頭をポカリと叩(たた)いて、「そら起きて!」と(笑)。そんな半病人同然の不摂生極まりない生活を送っていたんです。
――食事もファストフードばかりだったそうですね。
森永 朝起きて3分後にはカツ丼弁当にがっつき、昼はラーメンとチャーハンと餃子(ギョーザ)のセット、夜は立ち食いそば屋のカツ丼カレーを平らげるという日々で、1日5食が当たり前でした。加えて、仕事をしながら間食のお菓子を食べ続け、糖分たっぷりの炭酸飲料を1日5リットルもガブ飲みしていたんです。おそらく、その頃の1日当たりの総摂取カロリーは、控えめに見ても普通の人の2・5倍を超える5000キロカロリー以上に達していたと思います。
――ただ、多忙と過食は別物という気もしますが。
近藤 そんなことはありません。そもそも人間は、猿の時代から飢餓と闘ってきた。その本能はいまだに息づいていて、目の前に食べ物があると、とにかく食べてしまいたいという衝動に駆られる。この本能に抗(あらが)うのは意外に難しく、飽食の時代を迎えた今の日本で食べすぎをコントロールしようとすれば、理性や知性の場とされている大脳新皮質の力を借りて抑え込まなければならないのです。
――つまり、森永さんは大脳新皮質の力を借りそびれていた、と(笑)。
森永 たぶん、そういうことだと思います(笑)。
近藤 いやいや、借りそびれていたというよりも、理性や知性は十分に備わっているのだけれども、森永さんくらい忙しい状況に置かれると、食事の量を減らそうとか、太らないようにしようとか、そういうことに脳を働かせている暇がないし、意欲も湧かないということです。実際、一般的にも多忙でストレスの多い人は過食になりがちです。

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

コラム