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壊れた焼き物に新たな美しさを 伝統的修復技法「金継ぎ」セット

2017年7月16日号

 この春、東京・上野の国立博物館で催された「茶の湯」展は、地味なテーマにもかかわらず、大変な盛況だった。人気の高かった展示品の一つに「馬蝗絆(ばこうはん)」がある。薄い青磁の平茶碗(ひらちゃわん)の底のひび割れを、鉄の"かすがい"で留めてある。その様子が大きな蝗(いなご)に見えたことからの命名だ。キズと修理の跡を愛(め)でられ、評価が高まった。
「馬蝗絆」は中国の作品だが、日本にも元々、「金継ぎ」という修復技法がある。焼き物の欠けやひび割れを漆で接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる。「金繕い」ともいう。現代の感覚なら、修復の痕跡はできる限り消すようにするだろう。そこを逆に目立たせて、景色を面白がる。実に"茶の湯"的な美意識だ。
 この「金継ぎ」がここ数年、趣味として注目されている。陶芸教室に併設されていることが多いが、「金継ぎ」専門の教室も増え、独学のための用具セットも数種類出ている。
 写真の「金継ぎセット『美』」(税込み6480円)は、その草分け的存在だ。安政元年創業の藤井漆工芸株式会社(東京都足立区)が、3年ほど前から販売している。以来、コンスタントに売れ続けているが、ここ数年はメディアで「金継ぎ」が取り上げられることも多く、出荷数が伸びているという。
 セット内容は専用の漆に溶剤、筆、金泥(きんでい)など「金継ぎ」に必要な素材と道具ひと揃(そろ)い。他に布、飯粒、箱、サラダ油などを用意すれば、付属の解説書に従って、自宅で基本的な作業を行える。
 漆は乾燥に適度の湿気が必要なので、湿度を保つ箱が重要。その中に入れて、各作業段階で、じっくり乾燥させるのが上手に仕上げるコツだ。手仕事自体は、それほど難しいことはないが、気長に時間をかけることが肝要なのだ。
 これからの季節、寝苦しい夜が続くが、就寝前の「金継ぎ」ひと工程で、精神的クールダウンはいかが?
(小出和明)購入はAmazon・東急ハンズなどで

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