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不調の原因は"住まい"にあり!医師が教える病気になる家

2016年12月 4日号

▼危ないのは北向き、窓あり風呂

▼マンション低層階に肺炎リスク

▼照明と高齢者うつの深い関係...

「住居」と「健康」には深いつながりがあるという。生活の拠点として、時に何十年も暮らすことになる住まいが、体に影響を与えるというのは確かにうなずける。家が原因となる病気の多くは循環器と呼吸器疾患で、最悪死に至ることもある。予防法を含めて、専門家に聞いた。

 なんと高齢者が家庭内で死亡する原因の4分の1が「入浴中の死亡」だというから驚きだ。家庭の浴槽での溺死者数は10年間で約7割増加。厚生労働省研究班の調査によると、救急車で運ばれた患者数から、入浴中の死亡は年間約1万9000人と推測されるという。ここ数年、4000人台前半で推移する交通事故死を大幅に上回る。
 一日の疲れを癒やすはずの場所で命を落とすとは恐ろしい。しかも、原因は不注意だけでなく、"家そのもの"にもあるという。
 まずは自宅の「浴室」を確認してほしい。どの方角に位置し、窓や暖房設備はあるだろうか。北向きにある、壁面や床がタイル張り、大きな窓がある、暖房設備がない――といった、伝統的な日本家屋に見られる設計なら要注意。このタイプの浴室は室温が低下しやすく、体にかなりの負担がかかるという。

 ◇「浴室が寒い」住環境は危ない

 家と健康について研究を重ねてきた循環器医で、さかい医院(川崎市)院長の堺浩之医師は、「寒い日の室内でブルブルッと震えたことはありませんか?」と、問いかける。それは体が寒いと感じ、"血圧が上がる兆候"であるという。
「暖かい居室から廊下、浴室と、室温はどんどん下がっていきます。ましてお風呂に入る時は服を脱ぐので、体から熱が逃げないように血管がキューッと縮こまる。体が熱を作るため震えることもあるでしょう。その時、体内ではものすごい勢いで血圧が跳ね上がっています。そして浴槽内で体が温まると、今度は血管が拡張して血圧が急激に低下する」
 どれぐらい血圧が変動するのか。ある研究では、入浴前に収縮期血圧(上の血圧)が120(ミリHg)だった人が、室温10度の浴室内では160まで上がり、浴槽につかると一気に130に下がり、浴室から出て室温の低い脱衣所に移ると再び170まで上昇する、というデータがある。
「血圧が激しく上下することで、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などを起こす危険がある。一過性の意識障害から、転倒や溺死にまでつながることがあります」(堺医師)
 湯につかっている時に意識を失うと、そのまま死に至るケースが多い。気持ちよく、スーッと意識が失われていくため、"自分で助けを呼べない状態"に陥りやすいという。この急激な温度変化に伴う体調不良が、いわゆる「ヒートショック」と呼ばれる現象だ。
「寒くなるこれからの季節は、入浴に伴う温度変化でヒートショックを生じやすい。高齢者ほど寒冷の影響を受けやすいので気をつけてほしい」と堺医師。
 消費者庁のまとめによると、東京都23区内での「入浴中の事故死」は、12月から2月にかけての発生が全体の約5割を占めている。
 入浴中の事故死の数と気温に相関が見られるという報告もある。事実、室温が20度を超えると、血圧はほとんど変動しない。ヒートショックで死なないためには、入浴に伴う「温度変化」を極力少なくすることだ。
「まず、浴室内の温度を上げることが大事です。湯船にお湯をためる時には、ふたをせずに、暖かい湯気が上がるようにする。床が冷たい場合はマットやすのこを敷いて、足から熱を逃がさないようにする。さらに服を脱ぐ前に、浴室の床や壁面にシャワーでお湯をかける一手間を」(堺医師)
 浴室に窓がある場合は、カーテンをかけたり、窓に断熱シートを貼るなど、暖かさが逃げない工夫をしよう。

 ◇部屋ごとの温度差が10度以上は×

 米国やドイツ、イタリアなど、海外では浴室暖房を備える家庭が多く、「浴室での死亡率」が日本の半分以下といわれる。
 堺医師によると、部屋ごとの温度差は「3度以内が理想で、10度以上は危険」という。特に居間、浴室、トイレなどが北側で離れていると、気温差が起こりやすい。寒い日に一度、部屋ごとの温度を測っておこう。
 築年数が経過した木造建築は気密性が低い家が多い。費用がかけられるなら、リフォームするのもお勧め。戸建て住宅よりは、マンションのほうが気密性が高く、部屋ごとの温度差が少ないといえる。
 しかし、油断は禁物だ。
「マンション住まいや普段は健康な高齢者でも、年齢や持病、入浴の習慣によって、ヒートショックは生じます。寒くなりすぎない日没前に入浴するなど、時間帯も考えて。飲酒後や食事をしてすぐ、薬を飲んだ直後の入浴も避けましょう」(堺医師)
 最も危ない習慣は、42度以上の湯に入ったり、湯船に長い時間、首までつかったりする入浴。熱めのお湯につかりたいと感じる時は、決まって"寒い時"だ。浴室内と湯の温度差が激しくなる可能性がある。
「"寒い"と感じる時も、熱すぎる風呂も、体にストレスがかかっていることを忘れずに。夜中にトイレに行く時など、寒くなりそうな時は一枚羽織るといいですね」(同)
 加齢とともに動脈硬化が進むため、急激な温度変化で心疾患や脳血管疾患を起こしやすい。入浴によってヒートショックを生じる危険が高まるゆえんだ。65歳以上で、太り気味であったり、高血圧症、心臓や脳の病気、不整脈がある人は、リスクが高いことを肝に銘じて対策を練りたい。

 ◇湿度が高い家は肺炎に注意せよ

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