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ふざけるな!年金「カット」

2016年11月13日号

保存版 すぐにできるおカネの秘策30連発

 年金や医療、介護などの「改悪」スケジュールが目白押しだ。マイナス金利の影響でATM手数料が上がり、燃料の輸入価格上昇で電気代もアップしている。追い打ちをかけるように今後は怒濤の負担増が家計に襲いかかる。すぐできる「おカネの秘策」を探った。

 まずは上の表を見てほしい。厚生労働省の社会保障審議会で議論されている医療・介護の制度改正のうち、実施の可能性が高いものだ。これ以外にも75歳以上の窓口負担を1割から2割に上げるなど、さまざまな負担増・給付カット計画が俎上(そじょう)にのぼっている。
 なかでも衝撃的なのが、臨時国会最大の争点の一つとなった年金制度改革関連法案、いわゆる「年金カット法案」だ。現行の公的年金は、物価・賃金スライド制で、物価が上がれば年金額は増え、下がれば支給額が減る。
 ところが今国会に提出中の法案の「新ルール」では、物価が上がっても賃金が下がれば年金支給額を減らし、賃金が物価以上に下がれば賃金に合わせる。
「常に低い方にあわせて年金額をどんどん減らしていく。えげつない制度だ」
 そう国会で批判したのは民進党の井坂信彦衆院議員だ。この新ルールが適用されると年金額はどうなるのか。井坂議員が過去10年の物価・賃金に当てはめて試算したところ、10年間で今の年金と比べて5・2%減るという結果が出た。
 モデルケースの年金額(国民年金6・4万円、厚生年金22・7万円)で計算すると、国民年金で年間4万円、厚生年金は14万2000円の減額となった。
 政府は当初、新ルールでの試算を出さなかったが、民進党の追及を受け、ようやく10月17日、国民年金の支給額が現行より3%(月2000円)減る、という試算を公表した。
 5・2%と3%――。減少幅に違いが生じることについて、井坂議員はこう批判する。
「試算するにあたって、『可処分所得割合の減少』など前提条件に含めなければならないものを、新ルールから外して計算し、累計2%に及ぶ"上げ底"をしているのです」
 今回の法案ではもう一つの改悪がある。物価や賃金の伸び以下に年金を抑える「マクロ経済スライド」を強化する内容だ。現在、同スライドはデフレ下では実施できないが、法案では、デフレ下で実施できなかった分は持ち越して、物価や賃金が上がった年にまとめて引き下げるとしている。「こんなことをやっていれば、低年金でギリギリの生活を強いられている高齢者が追い詰められ、生活保護者が激増します。年金カット法案が成立すれば、年金受給世代だけでなく現役世代を苦しめることになります」(同)

 ◇年金額アップ&節税

 やせ細っていく年金を少しでも「積み増す」方法はないだろうか。年金問題研究会代表で1級DCプランナーの秋津和人さんにアドバイスしてもらった。
 満額で月7万円に満たない国民年金を増やす方法として(1)付加年金制度がある。市区町村の窓口で申し込み、国民年金の保険料を納める際にプラスして月400円の付加保険料を納めるだけだ。秋津さんが解説する。
「付加保険料を納めた月数に応じて1カ月につき200円、年金額を増やせます。『400円納めたのに200円か』と一見損のように思えますが、年金受給は毎年です。付加年金は2年受給すれば納めた保険料のモトがとれ、その後も一生増額分が受け取れます」
 例えば、付加年金の保険料を10年間支払うとすると、支払総額は、400円×120月=4万8000円。その結果、将来受け取れる付加年金の年金額は「200円×付加保険料を納付した月数」なので、この場合の年金額は、200円×120月=2万4000円。
 この2万4000円が生きている限り、毎年受け取れる。2年間受け取ると、2万4000円×2年=4万8000円。この時点で、支払った金額のモトが取れ、長生きすればするほどお得になるという計算だ。
 国民年金は20歳から60歳になるまでの40年間加入していれば満額(年額約78万円)受給できるが、25年以上加入していないと1円も受け取れない(来年10月から10年に短縮予定)。
「ただ、(2)『任意加入制度』といって、加入40年未満の人は本人の申し出で、60歳からの最大5年間、追加で保険料を納めることで、65歳から受け取れる老齢基礎年金を増やせます」(秋津さん)
 任意加入して月額1万6500円程度の保険料を1年間払うと(年間約20万円)、65歳から受給できる基礎年金は年額約2万円増える。
 保険料を納めていない期間があると、受給の要件を満たせずに無年金や低年金になってしまう。これを防ぐのに(3)「後納」制度を活用したい。
「以前は、2年前までしか遡(さかのぼ)って納めることができませんでしたが、5年前まで保険料を納められるようになりました。ただし2018年9月までの時限立法です。1年間保険料(約20万円)を支払うと国民年金が年間で約2万円ほど増やせます」(同)
 国民年金の保険料は、月単位で納めるのが基本だが、早めにまとめて納める「前納」という方法がある。2014年4月から、新たに2年度分の保険料を口座振替でまとめて納める(4)「2年前納」も導入された。
「2年前納は口座振替限定です。今年度の保険料でみると、毎月1万6260円納付する場合と比べ、2年前納は1万6000円程度の割引になります。2年前納は毎年2月末までに口座振替の申し込みをする必要があります」(同)
 年金の受給開始を(5)65歳から66~70歳に繰り下げると、1カ月につき0・7%ずつ増額され、年間で8・4%増、最大70歳になるまで遅らせると42%の増額になる。
 節税しながら老後資金を貯(た)めるのに(6)確定拠出年金(DC、愛称iDeCo=イデコ)という仕組みがある。
『ズボラな人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)の著書もある社会保険労務士の井戸美枝さんが解説する。
「確定拠出年金には会社単位で入る『企業型』と、『個人型』(DC)があります。個人型は、これまで民間企業に勤める人の一部や自営業者に加入が限られていましたが、来年(17年)1月からは主婦や公務員にも門戸が開かれ、ほぼすべての現役世代(約6700万人)が使えるようになります」
 DCは毎月決まった掛け金を60歳まで払い、投資信託などの金融商品に投資して、60歳以降に年金や一時金で受け取る。いわば「自分年金」だ。
「公的年金の給付減が避けられないなか、『制度は用意したので、国民のみなさん一人一人が自分で運用して年金を増やしてください』という国のメッセージと取ることができます。老後資金を作るのに、これほど最強のツール(道具)はありません」(井戸さん)
 どう最強なのか。
「三つの節税メリットがあるのですが、最もインパクトが大きいのが、毎月積み立てた掛け金の全額が所得控除の対象になることです」(同)
 控除の対象になるということは、所得に応じて払う所得税や住民税を減らすことができる。たとえば課税所得が400万円の会社員の場合、所得税率が20%、住民税が10%であわせて30%。DCの掛け金を月2万3000円、年額27万6000円とした場合、年間約8・28万円の節税効果(復興特別所得税除く)だ。
 運用益も全額控除だ。
「一般の口座では運用益の20%が税金として持っていかれますが、DCは運用益も非課税です。受け取りも一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象となり"非課税3点セット"なのです」
 商品ラインアップが気になるところだが、まずは「口座管理料」と「運用商品の手数料」をチェックすることが大事だと井戸さんは強調する。口座管理にかかる手数料は、例えばSBI証券は年間2004円、地方銀行では同7000円近くと、金融機関によって4倍近い差がある。
「来年1月の制度開始をにらんで、新規参入やサービス改定が相次ぐでしょうから、口座開設は焦らず、手数料や品ぞろえをじっくり比較してから加入しても遅くないでしょう。また、DCは長期で運用していくため、信託報酬率(運用商品の手数料)が低い商品を多数用意している運営管理機関を選びたい」(井戸さん)
 運用管理機関を選ぶに際して参考になるのが国民年金基金連合会のHP(http://www.npfa.or.jp/401K/index.html)。ここにアクセスして「運営管理機関」というタブをクリックすると、一覧が表示される。また、NPO法人確定拠出年金教育協会の「個人型確定拠出年金ナビ『iDeCo ナビ』」(http://www.dcnenkin.jp)も加入時や運用期間中にかかる費用も一覧できる。

 ◇保険・医療

 70歳未満の人が、入院で月に100万円の医療費がかかったとしても自己負担は約9万円程度で済む。(7)「高額療養費制度」があるからだ。
 高額療養費制度は、いったん自分で支払い、後で還付される制度だが、その持ち出しが厳しい人もいる。
「そうした場合は、患者の所得区分を証明する(8)『限度額適用認定証』があれば、自己負担の上限額以上を窓口で払う必要はありません。加入している健康保険の窓口に

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