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近藤誠VS.がん患者代表 第1回 近藤先生!誰も聞けなかったことをズバリお聞きします

2016年10月16日号

"超"本音対談

 ◇無治療放置という自説を患者に押しつけているのでは?

 ◇近藤理論で犠牲者が出ているのでは?

「結局、がんは放置するのが一番」と主張する近藤誠医師。こうした「近藤理論」を批判する医師が続々登場しているだけに、理論の中身を根掘り葉掘り、聞いてみたくなった。そこで、がん患者代表が近藤医師に直接疑問をぶつける本音対談を短期集中連載でお届けする。

 近藤誠医師は標準とされるがん治療(注1)に敢然と異を唱えてきた孤高の医師である。慶應義塾大学病院放射線科の講師を定年退職する1年前の2013年4月に開設された「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」(東京・渋谷)には、年間2000組を超えるがん患者やその家族らが相談に訪れているが、標準治療を旨とするがん治療医の間では近藤医師への批判の声も少なくない。
 そんな中、本誌は2016年4月24日号から連続3回にわたって、近藤医師と林和彦医師(東京女子医科大がんセンター長)による「究極の激突対談」を掲載した。大反響を呼んだ白熱の論戦は、両医師への個別インタビューを新たに加えた『がんは治療か、放置か 究極対決』(毎日新聞出版)として刊行されているが、これら一連の司会、インタビュアー、構成などを担当したのがジャーナリストの森省歩氏である。
 4年前、森氏は東京大医学部附属病院にて大腸がんを切除。術後の病理検査の結果、病期は所属リンパ節(注2)の2カ所に転移のあるステージ3A(進行S状結腸がん)と診断された。今回はがん闘病中のジャーナリストであるその森氏が、がん患者を代表する形で「患者目線」から近藤医師に疑問のありったけをぶつけ、問い質(ただ)す―。
   ×  ×  ×
森 第1回は主として近藤理論(注3)をめぐる抜き差しならない疑問、中でもこれまで「誰も面と向かっては聞けなかったこと」をズバリおうかがいします。
近藤 遠慮なくどうぞ。
森 まず「近藤医師は無治療放置という自説を患者に押しつけている」との批判についてお聞きします。反対論者の臨床医などからよく聞かれる批判ですが、これが事実だとすれば、近藤先生は理論のために患者を踏み台にしている、ということにもなりますが。
近藤 僕は「目の前の患者さんがどうしたら最も健やかに最も安全に長生きできるか」を追求し続けてきました。この点はすべての議論に先立つ大前提です。自慢するつもりはさらさらありませんが、がんの種類やその進行度に応じて、僕ほどきめ細かく対処法を考え抜いてきた医者は、世界広しといえどもほかにいない、と自負しています。
森 批判は的外れだと?
近藤 そもそも、なぜ僕がセカンドオピニオン外来を開いたのかと言えば、どんな種類のどんな進行度のがんにも対処法や治療法には複数の選択肢があるのに、がん医者らは標準治療と称して患者を型にはまった治療法に追い込んでいるからです。しかも、疑問を感じた患者に彼らが提示するセカンドオピニオンは、ガイドライン(注4)通りの、判で押したような「金太郎飴(あめ)オピニオン」ばかりです。つまり、自説を押しつけているのはむしろ彼らであって、その結果、多くの患者が手術の後遺症や抗がん剤の毒性で苦しみ、がんではなく治療のために命を落としているのです。
森 しかし、今のお話だけでは「自説を押しつけている」という批判への十分な回答にはなっていません。

 ◇がん医者こそ「やりっ放し」では

近藤 大事なことゆえ、まずは根本的な考え方や問題点について指摘しました。その上で件(くだん)の批判に話を戻せば、実際のセカンドオピニオン外来では、がんをそのまま放置した場合と、手術や放射線などで治療した場合の、両方の対処法について説明しています。
 実際、僕は放置したほうがいいと思っていても、治療することを選ぶ患者さんは大勢います。そのような場合、患者さんに対して僕から「ダメだ」とか「やめろ」とか言うことはありません。そもそも、多くの場合、最終的にどのような道を選ぶかは、その場で決まるものではありません。
森 どういうことですか?
近藤 冒頭、僕は患者さんにこう説明します。「今日は僕の意見をお話しし、質問にもお答えしますが、この30分という相談時間(注5)の間に、あなたがどうするかを決めるのは無理があるでしょう。したがって、まずは疑問点をこの場で解消した上で、結論については、ご自宅へお帰りになってから、ゆっくり考えてお決めください」と。患者さんに考える材料を提供するのが僕のセカンドオピニオン外来の目的なのです。
森 患者は近藤先生の意見にすべて従う必要はない、ということですか。
近藤 僕のセカンドオピニオンを聞いた上で、患者さんが熟慮し納得して決めた結論であれば、僕は基本的にこれを是とします。「天は自ら助くる者を助く」という英語のことわざがありますが、患者にとって大切なのは、誰かに決めてもらったり、何かを信じたりすることではなく、自分自身の頭で考えることです。そうしなければ、自分を救うことはできません。
 そして、その際に必要になってくるのが直感と知性と理性です。今のがん治療はどこかおかしいのではないかとか、医者の言う通りにしていると危ないのではないかとか、そういう直感がまず大切。その上で、本を読むなどして知識を増やし(知性)、考える材料が揃(そろ)ったら、自分の頭で考え決断する(理性)。そうしなければ、治療で傷ついて早く死ぬことになります。
森 ですが、反対論者の間には「近藤医師は『言いっ放し』だから気楽なものだ」「結局、無治療放置は『患者放置』なのではないか」などの批判も渦巻いています。患者目線で考えても、言いっ放しで放置されるとすれば、たまりません。
近藤 まず「言いっ放し」「患者放置」という批判についてですが、先ほど説明したように、僕のセカンドオピニオン外来は患者さんに考える材料を提供する場ですから、僕も患者さんもそれで目的は達せられ完結しています。それ以上、僕に何をしろと言うのですか。
 また、慶應病院時代について言えば、放射線科病棟が院内ホスピスと化していた研修医時代の看取(みと)りを含め、僕は可能な限り患者さんを最初から最後まで診てきました。抗がん剤をやり尽くした揚げ句、「もうできることはありません」と患者を放り出すがん医者らのほうこそ、逆に「やりっ放しの患者放置」にあたるのではないでしょうか。
 それから、

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