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取られ過ぎ「固定資産税」「相続税」を取り戻せ!

2016年9月 4日号

取られ過ぎ「固定資産税」「相続税」を取り戻せ!

 税の話は難しいから行政や専門家任せにしがちだ。だが無関心でいると、あなたも知らない間に"過払い"を続けているかもしれない。さまざまな原因によって固定資産税や相続税が適正に課税されていないケースがあるのだ。税金を取り戻す方法を知っておきたい。

 ◇3年で39万件も過徴収 家失った人も

 マイホームを持った人の宿命「固定資産税」。役所が決めた税金なので、まさか大きな間違いはないだろう、と高をくくっている人も少なくない。
 だが、固定資産税を本来より多く取られる事例が全国で続出している。1986年度から27年間、間違った課税額を納めるために自宅の売却を余儀なくされた埼玉県新座市の60代夫婦のケースが2014年に発覚した。新座市は過徴収を認めて謝罪し、余分に取った税や延滞金を返還したが、自宅は夫婦の手に戻らず、人生に致命的な損害を与えたとして大きな話題になった。
 総務省の調査でも、09年~11年度の3年間で97%の市町村で39万件以上の課税ミスが発覚している。うち7割は減額修正、つまり「税金の取り過ぎ」だった。分かっているだけで19万5183人、500人に1人だ。決して他人事(ひとごと)ではない。
 税の取り過ぎが起こる背景は、職員の単純な入力ミスだったり、本来軽減される住宅用地の減額特例を適用し忘れたりとさまざまだ。
 前職の測量会社で十数年にわたり、固定資産税を課税する市町村職員を対象に教育やコンサルティングをしてきた「固定資産税コンサルタント」の杉森真哉氏は、課税の実情を見てきた経験から、ミスが起きる背景についてこう話す。
「役所の担当者は市町村全域の土地、家屋を調べるために現地調査に出向き、ノートや台帳に手書きした調査情報を役所に戻ってきてからパソコンに手入力しています。市町村合併で職員が減り、膨大な作業を少ない職員でこなしているのが実情です」
 後述するが、一般的に還付されるのは地方税法上で請求権がある過去5年分のみだ。役所の"言い値"で何十年も払い続け、ミスが見つかっても納め過ぎた税金が返ってこない"怖さ"がある。提示された課税額を鵜呑(うの)みにせず、自らチェックする心構えが重要だと杉森さんは力説する。
 そもそも固定資産税とはどういう税金なのか、おさらいしておこう。
 固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して自治体が課税額を決定・通知する。ちなみに固定資産税は市町村税の約44%を占める重要な財源だ。
 土地、建物については、市町村が固定資産評価基準に基づいて固定資産税評価額を算出した上で、標準税率の1・4%を掛けて税額を計算する。市町村ごとに異なる税率を定められるが、ほとんどの市町村は1・4%を採用している。
「役所側で評価額を決め、納税者に課税通知書を送ってきます。相続税も同じですが、たとえ高く課税されていても、役所から『あなたは払い過ぎです』と親切に教えてはくれません」(杉森さん)
 固定資産税に誤りがあると、他の税金にも影響が及ぶ。
「一緒に支払っている『都市計画税』や、不動産を取得する際に課税される『登録免許税』『不動産取得税』、場合によっては『相続税』『国民健康保険税(料)』にも間違いが連動する仕組みになっていて、他の税金まで払いすぎることになります。だからこそ"自衛"が必要なのです」(同)
 課税ミスはどうやって調べ、どこに着目すれば見つけることができるのか。杉森氏ら、数多くの還付経験のある専門家にアドバイスしてもらった。

 ◆課税明細書を確認する

 毎年4月から6月にかけて自治体から送られてくる「課税明細書」という書類を手元に置こう。この書類に固定資産税の金額、土地建物の価格(評価額)、課税標準額が記載されている。
 一般的な一戸建てのケースでいうと、明細書で最低限見ておきたい項目は(1)地番(2)地目(3)地積(面積)(4)住宅用地の特例の適用の有無―の四つだ。

 ◆減額措置が適用されているか

 なかでも注意すべきは(4)だ。先の新座市の事例も住宅用地の特例の適用が漏れていたことから起きた。
「固定資産税の過徴収や還付のほとんどは、この住宅用地特例の漏れで起きています。『課税明細書』の摘要欄に『住宅用地』『小規模住宅用地』といった記載があるかどうかを確認してください」(杉森さん)
 人が住む住宅用地は、住宅政策の観点から事業用の店舗などに比べて大幅に税負担が軽減される。
「宅地の中でも200平方メートル以下は『小規模住宅用地』の特例が適用され、土地の課税標準額(税額の算出基準となる評価額)が6分の1になります。200平方メートル超なら『一般住宅用地』として課税標準額が3分の1になります」(同)
 明細書に「住宅用地」などの記載をしない自治体もあるという。その場合は、計算で確認する方法がある。「評価額÷課税標準額」を計算し、「6」以上の場合は、住宅用地特例の「6分の1」が適用されている。もし計算結果が「2」以下だと、特例は適用されていない可能性がある。
「建物を取り壊したにもかかわらず、その申請をしていなかったために、課税されている場合もあります。また『鉄骨造』や『木造』など、構造によって税額が違うので、それも確認したほうがいいでしょう」(同)

 ◆縦覧制度を活用する

 税額が高すぎると思ったら、周囲と比べてみるのも手だ。近所の人と親しければ聞いてもいい。
 また、同一市町村内にある土地、建物の固定資産税評価額を閲覧できる縦覧制度も利用できる。縦覧期間は原則として毎年4月1日から20日だ。

 ◆新築・耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修

 家屋には政策的にさまざまな税金の軽減措置が設けられている。
「新築住宅は床面積などさまざまな要件を満たせば、新築後一定期間、固定資産税が2分の1に軽減されます。また、2018年3月31日までの時限立法ですが、バリアフリーの改修工事をした場合は、床面積100平方メートル相当まで3分の1減額されます。二重サッシや複層ガラス化など断熱工事など省エネ対策でも3分の1減額などの措置がありますので、思い当たる人は自治体に確認してみてください」(ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん)

 ◆必ず過去の払い過ぎが戻ってくるか確認する

 注意したいのは、課税ミスが認められた場合でも、地方税法上、還付を受けられるのは過去5年分に限られることだ。
「自治体によっては5年以上(10~20年)の還付を行う条例を定めています。ただ私の経験から言うと、課税ミスが認められた場合でも、『今年から修正します』で済ませる自治体がほとんど。その際は必ず、

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