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"2次被害"が生じるおそれも 健康保険「情報漏れ」究明困難

2016年8月 7日号

 国民の個人情報が危険にさらされている。
 昨年末、健康保険証の番号を含む個人情報約10万3000人分が流出、名簿業者が転売していたことが発覚した問題。厚生労働省は今年5月、約1万8000人分の番号が現在も使われていると発表したが、関係者によれば、同省は「流出元を特定できないまま、調査を打ち切る可能性がある」という。流出ルートを特定できない以上、今も漏洩(ろうえい)が続いている恐れがあるのだ。
 医療システム用のセキュリティーサービスを手がける「メディカルITセキュリティフォーラム」(MITSF)によると、健康保険証情報の流出元としては、2通り考えられるという。
 一つは民間病院。厚労省が公表した漏洩リストの該当者が受診した医療機関には、国立病院が含まれていなかった。もう一つは、診療報酬請求明細書(レセプト)作成の代行会社だ。近年、民間病院はレセプト業務の負担軽減のため、代行会社に委託するケースが増えている。複数の病院からデータが持ち込まれる代行会社は、大量の個人情報を預かっている場合がある。
 仮にレセプト代行会社から漏れたとすれば、事態はより深刻だ。レセプトの代行業務は許認可が必要な事業ではなく、厚労省などの行政指導の対象でもないからだ。
 MITSF理事で情報管理に詳しい山崎文明・会津大学特任教授は、「病歴や診察歴など秘匿すべきプライバシー情報が、行政の管理監督下にない組織に渡っているのは危険だ」と指摘する。流出したリストが悪質な名簿業者を経て振り込め詐欺グループや非合法な貸金業者などに流れれば、対象者が思わぬトラブルに巻き込まれ、"2次被害"が生じるおそれもある。
 問題が起きる度に、厚労省はリスク管理の重要性を説く。しかし、流出元を特定できないのであれば、せめてレセプト代行業の管理監督が必要ではないか。
(大堀達也)

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