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医者が選ぶ死ぬならこのがん 名医25人に聞いた"理想の最期"

2016年7月 3日号

 2人に1人はがんになる時代なら、がんで死ぬことも想定しておいたほうがいいだろう。もう打つ手がないとなった時、あなたが大事にしたいこと、最後まで譲れないものは何だろうか。多くの死を見つめてきた医師に、自身が受けたい、がんの終末期医療を聞いた。

 日本人の死因第1位のがん。発見が遅れるほど治る可能性は低くなり、治療をしても再発の危険を抱えることになる。がんは、細胞の遺伝子の異常が原因で、「老化現象」という面もある。今後、高齢化に伴って「がんになる人」はさらに増加していくだろう。
 がんが進行して治療の道が断たれそうな時、わずかな可能性に懸けて命にこだわるのも一つだ。しかし、どんなに死を忌み嫌っても、いつかは避けることができないなら、「がんで死ぬこと」を受け入れ、残された時間を有効に使う道もある。その時にあなたが最後まで大事にしたいことは......。家族との時間か、成し遂げたいことか。それとももっと日常的な食べることや、排泄(はいせつ)を守りたいのか。
 たくさんのがん患者に接してきた医師に「どのがんで死にたいか」を問うと、経験を積み、考え抜いたからこそ言える「理想の死に方」があった。
 ◇  ◇  ◇

 ◇肝臓がんなら苦痛は短く、眠るように... 森山紀之さん

 発見された時は、手の施しようがないほどがんの末期だった―。不幸のように感じるが、見方を変えれば末期になるまで「痛み」などの症状を感じなかったということだ。
 かつて国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長を務め、これまで多くのがんを診てきた医療法人社団進興会理事長の森山紀之医師は「がんで楽な死に方になるかは運の良しあしだけれど、私が選ぶなら肝臓がん」と言う。
「肝臓は痛覚がないので、肝機能が悪くなり、意識がなくなって、最後は眠るように......。黄疸(おうだん)によって体は黄色くなりますが、肝臓がんは苦痛を感じる期間が比較的短いのです。ただし、急に容体が悪化してしまうから、身辺整理は早めにしたほうがいいでしょう。先日、カミさんの同級生が肝臓がんで亡くなりましたが、亡くなる1週間前まで普通に歩いていたのに、その後、数日で車椅子になってしまいました」
 肝臓がんと同様に膵臓(すいぞう)がんも、発見から死亡までの期間が数カ月と短いことが多い。しかし膵臓の場合は、がんが神経に浸潤してしまうケースがあり、その場合はかなりの痛みを伴う。
 腎臓がんもそれ自体は痛みを起こさないが、転移が問題。頭頂部に転移すると、まず足に麻痺(まひ)が起きて歩けなくなる。手も動かなくなり、やがて見当識(自分がどこにいるか、日付や曜日の把握)が低下してしまう。腫瘍の周りにむくみが出れば、吐き気や頭痛に苦しむことがある。
 ほかに森山医師が避けたいと願うのは、「気道が少しずつ狭くなる」がん。
「体はピンピンしているのに、がんが気管に食い込んで細くなっていくのはつらく感じますね。以前そういった症状を持つ患者さんが『苦しくて眠れない、どうなってもいいから苦痛を取ってほしい』と、ある医師にお願いをしました。その医師は、多めの放射線をかけたんです。すると、がんがなくなった。しかし、放射線の副作用で下半身麻痺が起きてしまった。患者さんはそれから10年以上生存しましたが、麻痺が起きるなら死んだほうがよかった、と後悔していました。治療で何を優先させるか、難しい例です」

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