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認知症最新予防法 早期発見のカギは歩き方にあり!

2016年6月12日号

 10年後には65歳以上の5人に1人がかかるといわれる認知症。本格的な治療法はないだけに、危ないかも?と思った時点で発症リスクを低下させる習慣を身につけたい。食事、睡眠、運動をキーワードに、日常生活で取り入れられる認知症予防法をお届けする。

 ◇「歩くのが遅くなった」は危ない

「脳の高度な機能というと、『記憶力』や『計算』を思い浮かべます。しかし、意外にも『体を動かすこと』も、脳内のさまざまな場所を使う知的な活動。特に、安全に注意を払いつつ、目的地までの道のりを思い描きながら"歩く"行為は、脳内で高度な情報処理が行われています。脳内の異変は歩く行為に出やすいのです」
 そう話すのは、認知症に関して世界中の研究者を取材し、最新の知見を『認知症は早期発見で予防できる』(文藝春秋)にまとめたNHKチーフディレクターの青柳由則さん。
 かつて運動機能の低下は、筋肉の老化などが原因で、認知機能とは無関係だと思われてきた。だが近年の研究で「歩行と認知機能」には深いつながりがあることが明らかになっている。
「認知機能が低下すると歩行が遅くなるのです。周囲が、"最近なんだか歩くのが遅いね"と感じたら、それは大きなサイン。もしくは、会話をしながら歩くと歩行速度が遅くなるのも良くない兆候。脳が"歩くこと"と、"会話"の二つを同時に行うことが難しくなっているのです。よく転倒するなどの段階までいってしまうと、認知機能の低下がさらに進んでいる可能性があります」(青柳さん)
 身体機能と将来の健康問題に詳しい、東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優研究員からは「歩行スピードと、命の長さに関係がある」と衝撃的な言葉が。
「脳内のある場所が詰まったり、血流が低下するなどの原因で歩幅が狭くなってしまうのです。すると将来、認知機能が衰える、入院や要介護のリスクが高まるなどの可能性があり、命の長さに直結するのでしょう。年をとっても足の運びの"リズム"は変わらない。自分ではいつでも同じリズムで歩いているのに、同世代のグループより遅れてしまう、いつもの道を歩くのに時間がかかるようになった、信号の青が点滅するまでに横断歩道を渡りきれないなどの問題が起きたら、歩幅が狭くなっているかもしれません」
 歩行スピードが遅い(歩幅が狭い)かどうかは、「1秒間で何メートル進めるか」で考えるとわかりやすい。65~69歳の男性の平均値は1秒間に約1・4メートル、85歳の男性で約1・1メートル進む。
 信号機の「青」は、交通量などを加味して時間が設定されている。一般的には青が点滅するまでの間に毎秒約1メートルの速度で横断歩道を渡りきれるような基準だ。時間内に渡りきれなければ、同世代より歩行スピードは遅いと考えられるだろう。
「以前は楽に横断歩道を渡れていたのに、信号が赤になるまでに渡りきれなくなったら要注意」(青柳さん)ということだ。

 

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