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迫真のドキュメント日本公開 当事者が語るスノーデン事件

2016年6月 5日号

 インターネット社会の怖さは、一人の「内部告発」が一夜にして世界中の人々を巻き込む威力を発揮することだ。
 世界に衝撃が走った「スノーデン事件」のドキュメンタリーが、ようやく日本でも公開される運びとなった。ローラ・ポイトラス監督の「シチズンフォー スノーデンの暴露」は、昨年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞など、世界で40もの映画賞をとっている。
 この映画の見どころは、監督のローラが事件を外からでなく渦中で撮っていることだ。彼女はイラク戦争やグアンタナモ収容所の2本のドキュメンタリーで当局から睨(にら)まれていたにもかかわらず、これを「9・11」以降のアメリカ3部作として完成させた。
 事件の主役となるエドワード・スノーデンは米中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)で働いていた29歳の青年。最高機密にまでアクセスできる立場にあった彼は、オバマが大統領就任前に約束した「チェンジ」を反故(ほご)にして、全ての国民のメールや通話などの情報を監視下に置こうとしたことに怒り、機密文書の暴露に踏み切った。
 スノーデンは政府が手を出しにくい香港に飛び、密(ひそ)かに協力者とコンタクトをとった。その相手こそローラ監督であり、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルドだ。彼には『暴露―スノーデンが私に託したファイル』(新潮社)のスリリングな著書がある。
 主要舞台は香港のホテルの一室。緊迫した状況下、グレンがスノーデンに話を聞き、ローラが撮影する。その記事が英紙『ガーディアン』に発表されるや、大反響を呼ぶ。
 スノーデンは恋人に知らせず、重罪も覚悟の上で「僕はコソコソしていない。真実を語る者が匿名だなんてクソっくらえ!」と堂々と名前を明かすシーンが小気味いい。
 近々、米国ではオリバー・ストーン監督の「スノーデン」が公開されるというから期待したい。
(木下昌明)

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