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芸術家仕様の最先端「焼き芋屋」

2016年3月20日号
「いしやぁ~きぃもぉ~」
 渋くもどこか温かみのある売り声とともに、リヤカーがやってきたのは昭和のこと。今は軽トラックから流れてくる。当世、売り子の声はスマホか音楽プレーヤーで代用されているのだろう。
 また、コンビニのレジ横の季節商品としても定着し、年間を通してデパ地下に店を構える専門店もある。芋の品種も多彩で、そうなると、「古新聞に包まれた庶民のおやつ」というイメージからはほど遠い。"スイーツ"に成り上ってきた感がある。
 こんなふうに変化してきた「焼き芋」だが、現在では"アート"の衣さえまとっている。写真の派手なデコレーションを施した大型セダン、実は石焼き芋の販売車「金時」なのだ。
 手掛けたのは現代アートユニット「Yotta(ヨタ)」。木崎公隆さんと山脇弘道さんが2010年に結成、同年東京・六本木ヒルズのアートイベントで、この「金時」を発表した。以来、毎年10月から4月までのシーズン中、全国各地を巡回。徳島産「鳴門金時」を使った石焼き芋を売りながら、"走るオブジェ"を展示している。
「独特の売り声を流し、火のついた釜で食材を焼いて売る行為が、とても面白く思えました。そんな他国にはない"焼き芋屋"という文化が許容されているところに、ある可能性を見いだしてモチーフに選んだんです。現代の私たちが失った感情や価値観が、そこにはあるのではないかと......」
 と語るのは山脇さん。アート作品としての「金時」はもちろん、焼き芋自体にも同様の情熱を注いでいる。
「芋の水分量によって温度や焼き加減が微妙に変わる。それを感覚的に理解していた先人の知恵に感動しつつ、味を追究していきたい」という。
「金時」の出店場所は公式サイトのほかツイッターやフェイスブックでも告知される。近所に来たら作品を愛(め)でながら、焼き芋も"味覚のアート"として味わってみたい。
(小出和明)

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