くらし・健康詳細

News Navi
loading...

「もうあかん」の靴屋さん閉店

2016年3月13日号
 閉店しそうでしない「閉店セール」を20年以上続けてきた靴販売店「オットー」(大阪市北区西天満)が今度ばかりは"店じまい"のようだ。
 1977(昭和52)年創業の同店は、靴の激安店として人気だったがバブルがはじけた90年ごろから経営難に陥った。ところが92年、竹部浅夫店長(74)が「もうあかん やめます!」と看板を出しつつ営業を続けたところ、関西人のシャレ気質をくすぐったのか、批判よりも「おもろい」と評判に。それに乗じて「やっぱりやります。どっちやねん」なども看板にした。
 その後も、元横綱朝青龍が巡業をサボってモンゴルでサッカーに興じていたことが報じられると、「横綱も店も土俵際」。父の日には「倒産(とうさん)セール」。さらには、商品のシークレットブーツをPRするため「格差を是正せよ 身長の格差は当店で 人は見かけが9割」などなど。世相を巧みに織り込んだコピーが受けた。
 交通事故で体調を崩し、昨夏ごろから休みがちだった竹部さんは「ホンマのホンマにやめる」と決心。友人らが「それなら閉店セールを盛り上げよう」と企画、卸業者なども協力した。閉店日の2月20日には、馴染(なじ)み客らが雨の中を駆けつけ、「寂しい。一生分買い込んだ」という女性も。報道陣に囲まれた竹部さんは「バブルがはじけて危機だったけど、看板で通行人がうふっと笑ってくれるのを感じた」などと振り返ったが、花束を贈られると目頭を押さえて、「おおきに」と繰り返していた。
 とはいえ、「どうせすぐ店開きまっせ」「今度だけはホンマに閉めたんちゃうか」と周囲の話題は尽きない。それだけ客に愛された証拠だろう。
 竹部さんは「体調が回復したら、ネット販売なら」などと含みを持たせているそうだが、再開するには少々閉店セールが盛り上がり過ぎた感もある。いずれ、シャレの利いた大阪ならではの名物店には違いない。
(粟野仁雄)

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

コラム