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東大推薦入試77人の「天才」たち

2016年2月28日号
 国立総合大学では唯一、一般入試のみで学生を選抜してきた東大と京大が、入試改革に踏み切った。推薦やAO入試の導入により、一般入試の前に優秀な学生を確保しようというのだ。こうした最難関大の入試改革は、東大・京大以外の難関国立大の入試制度に一石を投じそうだ。

 今春入試の最大のトピックスは、東大と京大が推薦やAO入試を導入したこと。東大の推薦入試担当室長の相原博昭副学長は「各学部から満足のいく選抜ができたと聞いており、推薦は成功したと考えている」と話している。
 東大が推薦入試を導入した目的の一つは、学生の多様性の確保。代々木ゼミナール教育総合研究所主幹研究員の坂口幸世さんは言う。
「東大の推薦は、1校当たり男女1人ずつという縛りがあります。開成や灘などの『トップ10』で全合格者の3割を占め、さらに関東の学校の集中や男子学生が多いという、偏った状況を改善するための制度設計といえます」
 昨年の東大合格者の出身高校の所在地は関東が約6割で、女子占有率は18%弱。推薦では関東の学校の割合が44%に下がり、女子占有率は38%に上がった。駿台予備学校進学情報センターのセンター長・石原賢一さんはこう話す。
「東大が推薦入試を『成功』とする背景には、本来は地元の大学が第1志望で東大を受験しなかった、地方の優秀な受験生を掘り起こせた手応えもあったのでしょう」
 推薦で合格者を出した学校のうち、昨年、東大合格者がゼロだったのは、一関第一、八千代松陰、横浜サイエンス、高知学芸など11校あった。男女ダブル合格した学校には、渋谷教育学園幕張や学芸大付、日比谷と東大の合格実績が高い学校がある一方、昨年の東大合格者が1人の大阪教大付天王寺や、医学部志向が強い札幌南といった、かねて東大志向が弱かった学校もある。
 科学オリンピックのメダリストや海外留学体験、在学中の特色ある活動歴など出願のハードルが高いため、余裕のある学校生活を送れる中高一貫校が33校(判明分)と多いことも特徴。その一つ、宇土の教頭、森本健二教諭は言う。
「(合格者は)海外の学会で研究成果を英語で発表するなど、一貫校のゆとりを生かし、研究活動に熱心な生徒でした。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されているため、研究発表や論文の力が磨かれる環境も有利でした」
 SSHは、大学や研究機関との連携などを通して、最先端の理数教育が受けられる。合格者を出した高校中、前橋女子や明善など21校が指定校。語学教育に力を入れ、グローバル人材の養成を目指すSGH(スーパーグローバルハイスクール)も強みを発揮しており、立命館慶祥や広島女学院など15校が合格している。ちなみに、中高一貫校もしくはSSH、SGHのいずれにも該当しない学校は、全合格校66校中10校のみだった。
 東大の推薦入試では、学校全体のポテンシャルも問われた。札幌北の進路指導部長・小松旭教諭はこう話す。
「生徒が出願要件を満たしていることを証明するために、担任のバックアップはもとより、国語教諭による小論文指導や、部活動の顧問に対する活動歴の照会など、多くの教員がかかわっています。本人と教員が一丸となって向かったから合格できたのです」

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