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マイナス金利の生活サバイバル

2016年2月28日号
 ◇「株価暴落」「止まらない円高」...どうすればいい!?

 銀行預金の利息や国債利回りは過去最低水準に下がり、株価やドル円レートは一昨年秋の水準に落ち込んだ。日銀が突如発表した「マイナス金利」。想定外の「株安・円高」に、マネーは大混乱の真っただ中にある。庶民はどこへカネを振り向ければいいのか―。

 ◇黒田日銀"奇策"で大打撃の銀行が次に打つ手

「複雑な仕組みは混乱と不安を招くリスクがあり、かえって金融緩和効果を減衰させるおそれがある」
 評論家の苦言ではない。マイナス金利導入が決まった1月28、29日の日銀金融政策決定会合で飛び出した発言だ。会合では9人の政策委員のうち、黒田東彦(はるひこ)総裁ら導入派と反対派の意見が拮抗(きつこう)、最終的に「5対4」の僅差で導入が決まった。
「おそれ」は的中した。
 日経平均株価はマイナス金利の発表前日から2月12日までに2000円超も暴落し、1年4カ月ぶりに1万5000円の大台割れ。メガバンク3行は25~29%、過去最高益のトヨタ自動車は17%もの株安に襲われた。円もドルに対して10円近く急騰し、11日に1ドル=110円台に達した。
 黒田総裁は国会(12日)で「マイナス金利は影響していない」と大見えを切ったが、大ボラではないのか。
 日銀出身で慶應大教授の深尾光洋氏(国際金融論)は、日銀の思惑をこう語る。
「日銀がマイナス金利を決めた理由は、株価対策が大きかったと思います。マーケットに催促され、無理な形でマイナス金利を決めたので混乱した。そもそもマイナス金利と量的緩和は両立しにくいのです」
 どういうことか。当事者が「複雑な仕組み」と認める通り、なじみにくい日銀の制度を少し補足しておこう。
 民間銀行は、預かったお金の一部を日銀の当座預金に預ける法律上の義務を負う。銀行はその分について利息を得られないが、法律上の義務を超過して預けた分に年0・1%の利息を得る。日銀によれば、民間銀行が預けた超過分は昨年平均で約210兆円。利息は年2100億円にもなる。
 今回の決定でそれが大きく変わる。昨年平均の210兆円については0・1%の利息が維持されるが、2月16日からは、それを超える分の利息はマイナス0・1%となる。つまり、お金を預けると利息がもらえるのではなく、逆にペナルティーを取られるのだ。これが「マイナス金利政策」の骨子だ。
 それとは別に、日銀はデフレ脱却のため、国債などの資産を買い入れる「量的緩和」を続けている。
「量的緩和は、日銀が銀行から国債を買い、銀行はその売却代金を日銀当座預金に預け、銀行の持つ手元資金を増やす仕組みです。しかし、マイナス金利がかかると当然、銀行の収益には大きなマイナスになります。それが危惧されて銀行の株価は急落しました。量的緩和とマイナス金利は両立しにくいのです」(深尾氏)
 日銀の思惑は、銀行がマイナス金利を嫌って日銀当座預金からお金を引き出し、貸し付けを増やすことだ。結果、経済が活性化し、アベノミクスで目標に掲げる物価上昇が達成できるというわけだ。しかし、銀行関係者はこう首をひねる。
「『貸し出しを増やせ』と言われても、国内では設備投資などの資金需要は本当に少ないのが実情。収益減に対抗するには、大手行は海外の銀行買収に走る手があるが、地方の銀行は他行と合併して規模を大きくするしかない」

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