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大山のぶ代さんだけじゃない! 妻が認知症になったとき

2015年6月 7日号

▼料理の味付けが下手に、物忘れがひどい...気づきのポイント

▼「認知症」と告げられたときの3つの反応

 介護者の3人に1人、100万人が男性介護者だという。親の介護は想定できても妻の介護は「想定外」という男性も多い。家事のスキル不足など男性ならではの壁も立ちはだかる。どう立ち向かえばいいのか――。

 ◇まさか、自分の妻にかぎって

 妻が同じ話を何度も言う、約束の日時を間違える、最近怒りっぽくなった......ということがあっても、「年のせいか......」としてしまいがち。認知症であることを公表した声優・女優の大山のぶ代さん(81)は、2008年ごろから怒ったり怒鳴ったり、感情の起伏が激しい状態が続いていたという。しかし、夫で俳優の砂川啓介さん(78)は、同じ年に大山さんが脳梗塞(こうそく)を患っていたため、その「後遺症」だと思っていた。
「初期の段階では、普段の生活で気づくことが難しい」と話すのは、「認知症の人と家族の会」東京都支部の松下より子さん。
「特に夫が仕事をしている場合は、日中の妻の様子が分かりません。気づいたら中度まで認知症が進行していたケースもありますね」
 大山さんは得意だった料理をしなくなったそうだが、これも典型的な認知症の症状だ。「メモリークリニックお茶の水」(東京都文京区)院長・朝田隆医師に、夫が妻の認知症に気づきやすいポイントを聞いた。
「一番は自分が頼んだことをやってくれていないことでしょう。さらにそれを指摘した時に、"しまった!"という反応でなく、"聞いていない"という"頼まれたことそのものを忘れている"パターン。女性の場合では、料理のレパートリーが狭まって同じメニューばかり出てくる、味付けが下手になるということも多いです」
 30年以上認知症の臨床と研究に携わってきた朝田医師は、特に男性は「根拠のない自信に満ちていることが多い」と話す。自分の親が、妻が、自分が、まさか認知症になるわけがない、と。心のどこかに老後の病気や介護について考えたくない、否認したい気持ちがあるのかもしれない。
「しかし、男性にとって最も逃げられないものは、妻の介護です」

 ◇絶望、否認、徹底抗戦...

 大山さんは、2年前に大学病院で「アルツハイマー型認知症」と診断された。「認知症」は、脳の病気によって記憶・判断力などがむしばまれ、日常生活を送ることが困難になった状態を指す。朝田医師によると、認知症を引き起こす病気は「3分の2はアルツハイマー型認知症、20%が脳血管性認知症、続いてレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症」が主であるという。それぞれ、少し前の出来事を忘れる▽脳の血管が詰まることで感情や運動の障害が起きる▽もの忘れと合わせて幻視の症状が出る▽言動・行動が社会的常識を外れる、などの特徴がある。
「重なり方に程度の差はありますが、アルツハイマーと脳血管性障害が重複している場合が一番多いんです。また、全認知症の半分以上が80代、その4分の3は女性であり、生活習慣病の総決算として認知症が表れる側面もあります。大山さんは糖尿病を患っていたそうですし、数が多いパターンの認知症ですね」
 妻が認知症になった時、「そうですか」と、すんなり受け入れられる男性は少ない。大山さんの夫、砂川さんも「診断を受けた時はショックで、病気のことは周囲に話さなかった」という。
「奥さんは認知症です」と告げた時の夫の反応は、およそ三つに分類されると朝田医師は分析する。
「もう駄目だという"絶望"、考えない、目を背けてしまう"否認"、病気について何から何まで調べ、いいと言われることは全てやりますという"徹底抗戦"」
 家族の会の松下さんは「まずは早期に病院を受診し、行政や地域の力を借りつつ、一人で抱え込まないこと」と訴えるが、男性にはハードルが高いようだ。
「自分が妻を介護する状態なんて想像もしたことがない男性が多いんです。なかなか受け入れられず、介護保険の申請をするのに何年もかかる。そもそも制度について知らない人も多いですね。自分の子供も介入させないという方もいます」

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