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大統領選で見えた「アメリカの崩壊」 日本は対米自立の足場を築け

2020年11月22日号

寺島実郎・日本総合研究所会長が緊急提言 ビジョンなき菅政権の傲慢

 アメリカ大統領選に超大国の神話崩壊を見、「どちらが勝つにしても、日本がどうなるかではなく、日本はどうすべきかを考えよ」と喝破する「世界と対話する知性」寺島実郎日本総合研究所会長。この重大な転換点に、米中二極構造を相対化する自立自尊の外交を構想する。

 このもつれにもつれた米大統領選結果。「理念の共和国」として世界の民主主義をリードしてきた米国は、この泥仕合の落としどころをどうつけるのか。郵便投票をどうカウントするのか。開票状況はバイデン優勢だが、トランプ陣営は法廷闘争を辞さない構えだ。新大統領はいずれ確定するだろうが、米国の分断修復には時間がかかるだろう。

 では、日本はこの結果をどう受け止めるべきか。この疑問に「日本がどうなるかではなく、日本としてどうすべきかを考える時だ」と力説するのが寺島実郎氏(日本総研会長、多摩大学長)だ。「新大統領にトランプがなろうとバイデンがなろうと、日本人のやるべきことは確実にある。それは米中二極体制のどちらにつくか、ということではなく、日本が国際社会で名誉ある地位を築くためにどうすべきか、という視点でこの問題と向き合うことだ」とも言う。

 二極論ではない? 俄然(がぜん)興味が湧き、そもそもから説き起こしていただいた。

「米中二極という考え方そのものが間違いだと私は言い続けてきている。もし世界が二極論に安易にコミットするなら、日本の選択肢は議論する必要がなくなる。なぜならば、日本は戦前も戦後もアングロサクソン同盟を結び、戦後は日米同盟を基軸に、戦後75年経(た)った今でも過剰同調していれば日本の未来が開けるという幻想の中で生きてきており、中国と連携して米国と向き合うという選択はあり得ないからだ」

「安倍晋三政権がそうだったし、外交についての構想力が見えてこない菅義偉新政権にしても出てくる回答は目に見えている。日米で連携して中国の脅威を封じ込めようという力学の中に日本は吸い込まれてしまっている。それで本当にいいのか。ここに重要な数字がある」と寺島氏はある統計データを取り出した。

 日本がどの国との貿易で生計を立てているかを示す「貿易相手国のシェア推移(輸出入額を足した貿易総額)表」であった。

 それによると、対米国は1990年の27・4%から2020年(1〜9月期)の14・7%と縮小傾向をたどってきたのに対し、対中国(香港、マカオ含む)は90年の6・4%から20年(同)の26・1%と増大の一途だった。対アジア(中国を除く)も27・8%と大きいシェアを占めている。

「日本は通商国家を標榜(ひょうぼう)しているが、どの国との貿易で経済が成り立っているのかが歴然と出てくる統計だ。日本のアイデンティティーがどこにあるかを示す数字でもある。この30年で大きな変化があった。対米はかつて4割あったのが90年代に3割を切り、07年には対中国に抜かれ、コロナの中で14・7%だ。一方で対中国は26・1%と増え続けてきた。今年はその傾向が一層顕著だ。中国が先にコロナのトンネルを抜けプラス成長に転じたからだ」

 対米14・7%、対中国26・1%、対アジア(中国を除く)27・8%。寺島氏はこの三つの数字を日本は真剣に考える必要がある、という。

「経済を下部構造、政治を上部構造とすると、日本は、下部構造は中国、アジアに依存しているのに、上部構造は依然として米国との関係がすべてに優先するという固定観念で生きている。わかりやすく言うと頭と体がバラバラで、頭は対米関係を異様なまでに引きずっているのに、貿易・産業という体にはどんどんアジアシフトが起きている。このバラバラ感に整合性を持たせ、一定の方向付けをする外交的構想力がないところに日本の悲劇がある」

 次に寺島氏は米中それぞれの現状を以下分析した。

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