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韓国 ソウル市長と朝鮮戦争の英雄2人の死を巡って国論が二分

2020年8月 9日号

 保守か、進歩(革新)か。国論が二分しやすい韓国は最近、2人の人物の死を巡って再び割れている。

 最初はソウル市長の朴元淳(パク・ウォンスン)氏だ。7月9日に行方不明になり、翌10日に遺体で発見され、警察は自殺と断定した。享年64。進歩系の人権派弁護士として知られ、2011年から同市長を務めていた。

 自殺したのは「セクハラを長期間受けていた」という元秘書の女性職員の告訴状が、警察に受理されたためだと推測されている。朴氏は弁護士時代、セクハラ裁判で名を上げていた。

 中でも国論を二分したのは彼の葬儀だ。現職市長だったためソウル特別市葬となったが、これに野党側と保守派が大反発。国民からの請願を受け付ける大統領府のホームページでは「家族葬に」との主張に50万人以上が賛同した。

 朴氏の清廉潔白な弁護士・政治家としてのイメージは損なわれた。これは、同じ進歩系で弁護士出身の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、その政権のイメージ失墜につながっている。

 さらに10日は白善燁(ペク・ソンヨプ)氏が亡くなった。享年99。白氏は1950年6月に開戦した朝鮮戦争で、前線に立ち続けた英雄中の英雄だった。北朝鮮軍の電撃的な侵攻で、釜山近郊にまで追いやられた韓国軍を指揮し、勝利を収めて反撃の機会をつくった。亡国直前の大韓民国を救った一人と言っても過言ではない。

 ところが、彼は日本の植民地支配時代、旧満州国の軍人として独立運動勢力を弾圧したとの経歴がうわさされ、進歩派が問題視し始めた。そのため、当初は国家に貢献した人が眠るソウルの国立墓地・顕忠院に埋葬されることになっていた。だが、文政権は中部・大田の顕忠院に埋葬した。これにも保守派、野党から反発を受けている。

 時の英雄でさえも、死後に穏やかになれない。世界からすれば、人権派弁護士出身でありながら、セクハラをしたという朴氏の疑惑解明こそが、大きな関心事と思うが。

(浅川新介)

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