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東アジア・クライシス 第3回 北の脅威だけではない! 在韓米軍 ミサイル防衛の重大事態=富坂聰

2017年5月21日号

集中連載第3回 北の脅威だけではない! 在韓米軍 ミサイル防衛の重大事態=富坂聰

「金正恩に会う用意がある」と米朝会談の可能性を示唆したトランプ米大統領。だが、ギリギリの綱引きが続く朝鮮半島情勢は収束の気配が見えない。気鋭のジャーナリストによる連載第3回は、在韓米軍に配備された「THAAD(サード)」が巻き起こす"疑心暗鬼"の実相をリポートする。

 ミサイルが降ってくる――。
 朝鮮人民軍建軍85周年にあたる4月25日、日本列島を小さな緊張が包んだ。原稿を書いている現在、原・水爆実験もミサイル試射も、ましてや日本に対するミサイル攻撃も起きていない。米国の研究機関や韓国からは盛んに核実験の兆候が伝えられていたことからすれば、北朝鮮が自制したということになるのだろう。
 日本が大騒ぎした「Xデー」は当面は去ったといえるが、一方で今回の緊張は、やはり朝鮮半島が依然としてアジアの火薬庫であることを思い知る結果となった。
 前号までの記事で私は、朝鮮半島を巡る米中の利害は日本人が思っている以上に複雑で、どちらも北朝鮮を「必要悪」として見ていることをリポートした。「米国が本気」といったときの「本気」は案外小さいということや、同盟関係にある日米の間にさえ実は大きな利害の溝があることなどがその中身であった。
 国際政治が利害の計算であれば、単純に見積もって米国の利益は在日・在韓米軍の存在価値の担保であり、北朝鮮の脅威により日韓に定期的に兵器を売ることができる点、さらに欧米資本も絡む韓国経済がもたらす配当にある。もし「4月危機」なるものが起きるとすれば、そのきっかけは、再び世界の警察の役割を担い始めたトランプ政権の威信を北朝鮮が傷つけることであり、また単純に北朝鮮という国の存在が「必要悪」という以上に問題化しているとトランプ政権の目に映ることもそうだ。
 また、北朝鮮が万が一、米兵を攻撃したり米艦船に向けて明らかな攻撃の意思を示せば、それも導火線に火を付ける結果となりかねなかったといえるだろう。
 双方が互いの思考を読み切れず、読み間違えば存亡の危機に立つという緊張感のなかで、従来の変数である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長という人物の「頭の中」に加え、トランプ新大統領が米国の朝鮮半島政策を大きく変えると口にしたことが新たな変数となって「化学反応」を起こした――。これが、25日の緊張だったというわけだ。

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