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北朝鮮は暗殺を仕向けられた? 金正男氏事件で飛び交う"臆測"

2017年3月19日号

 真相解明が進まぬまま、事件は「幕引き」に向かうのか。
 北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(ジョンナム)氏が、マレーシアで殺害された事件。クアラルンプール国際空港で猛毒の神経剤VXを塗り付けて金正男氏を死に至らしめたとされる女性2人が起訴され、実行犯らを背後で支援したとして逮捕された北朝鮮人男性は証拠不十分で不起訴処分となり釈放、国外退去処分となった。
 事件の背景について、世界中の北朝鮮ウオッチャーの間では今、二つの可能性が指摘されている。まずは、金正恩氏自らが最高権力者としての血筋を守るために、母親が違うとはいえ、血のつながる者を排除したとする見方だ。
 これが事実ならば、あたかも時代劇を見るような驚きを禁じえないが、三男である金正恩氏が父の故・金正日(ジョンイル)総書記によって後継者に選ばれた経緯を振り返ると、それなりに動機としては思い当たるところがある。「邪魔者は排除せよ」という論理だ。
 もう一つは、実は北朝鮮側の人間が手を下したものの、「(北朝鮮が)金正男氏を暗殺せざるをえないよう仕向けられた」という見方だ。これは「金正男氏を殺す理由がない」との判断から出ている。金正恩氏が権力を握って5年、その基盤は強固だ。また、金正男氏自身も「政治とは距離を置く」「自由がいい」というスタイルを示してきた。
 韓国の情報機関関係者がこう解説する。
「韓国や米国、または中国かもしれないが、『金正恩氏が身の危険を感じる』『体制を揺るがしかねない動きがある』といった情報が同氏に流され、その動きに金正男氏が関係すると見られた揚げ句、事件に発展したのではないか」
 だが、いずれの見方もしょせんは推測にすぎない。捜査中のマレーシア当局も決定的な証拠をつかめずにいる。動機も関係者も、その背景さえも分からぬまま、事件は迷宮入りしそうな雰囲気だ。
(浅川新介)

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