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司法省と裁判所が争う異常事態 「入国禁止令」で混迷深まる米国

2017年2月26日号

 ドナルド・トランプ米大統領(70)が1月27日に発令した中東・アフリカ7カ国からの入国を一時禁止する大統領令により、米国が大混乱に陥っている。全国的な抗議運動が起こったのはもちろん、訴訟も相次いで起こされている。
 まず同30日にはワシントン州が「入国一時禁止の即時撤回」を求める裁判を起こし、ミネソタ州はじめ10以上の州がこれに賛同。2月3日にはワシントン州シアトルの連邦地裁判事、ジェームズ・ロバート氏が「大統領令の執行を一時的に、全国的に差し止める」との判断を下した。
 もちろんトランプ政権は即座に反発。トランプ大統領はツイッターで「判事とか呼ばれる輩(やから)」とロバート氏個人を攻撃。同時に米司法省もサンフランシスコの第9巡回連邦控訴裁判所に決定を不服として即時停止を求め、上訴した。トランプ大統領は「最高裁まで争う」と強硬な姿勢を崩さず、ペンス副大統領も「裁判で争えば我々が必ず勝つ」との声明を出した。
 ただ、これに迷惑しているのは航空会社などの現場だ。大統領令により、「ビザを保有していても当該国からの乗客は乗せるな」という命令があったかと思えば、数日後には「乗せてよい」と言われる。各国の米大使館もビザ発給を停止したり再開したりと振り回されている。
 そもそも司法省と裁判所が争う事態は歴史的にも非常に稀(まれ)な出来事だ。米国民も「誰が法律を作り、誰が正しいのか」と不信感を募らせているのが現状だ。同4日には控訴裁判所はシアトルの連邦地裁決定の即時停止を認めない判断を示し、裁判闘争も泥沼化の様相を呈している。
 大統領令では「テロの危険性」を強調するが、国土安全保障省長官までが「大統領令は性急にすぎた」とコメントするなど、政府内での不協和音も聞かれ始めた。
 就任後わずか2週間で国を混乱に導いたトランプ大統領。混迷の時代が始まろうとしている。
(土方細秩子)

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