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巨大アングラマネー駆逐が狙い インドで高額紙幣廃止の裏事情

2016年12月 4日号

インド政府は11月9日、高額紙幣2種類を廃止した。対象となる最高額の1000ルピー札(約1550円)と2番目に高額な500ルピー札(約800円)の合計発行額は同国内で流通する紙幣価値の86%を占める。政府は旧紙幣は年内に預金するか新札に交換するよう呼びかけているが、これは事実上の「預金封鎖・新ルピー切り替え」といっていい。
 しかも、旧紙幣の廃止をモディ首相が発表したのは同8日午後8時(現地時間)で、4時間後の9日午前0時には2種類の高額紙幣は法定通貨としての価値を失うという手際の良さ。資産家やアングラマネーといえども逃げ道はなかった。
 高額紙幣廃止の理由は「資産家に資産公開を迫り、偽札や不正資金の根絶を図る」ためと説明されている。インドでは公的な記録で捕捉できないアングラマネー(地下経済)の規模が、国内総生産(GDP)の2~4割に及ぶと見られており、国民の半数が銀行口座を活用していない。
 預金封鎖は、アングラマネーを銀行か郵便局に集約することで実態を把握し、かつ新紙幣を介して表の経済に出していくことに狙いがある。
 実は、インド準備銀行(中央銀行)は、2015年1月から金融緩和に転じており、今年4月、10月と相次いで政策金利を引き下げた。特に10月の引き下げは、9月に就任したパテル総裁の下での初めての会合で決定され、これは金融政策の透明性を高める金融政策委員会(MPC)が導入された初の合議制でもあった。会合では、巨大な地下経済を放置したままでは金融政策が十分に効果を発揮しない、との問題意識が共有された。
 インドは7%台の高い成長率を維持しているものの、世界的な経済減速の影響も無視し得ず、金融政策の舵(かじ)取りは難しい。今回の高額紙幣廃止とは、金融政策の布石という意味合いを含んでいる。
(森岡英樹)

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