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拉致された韓国映画監督と女優 「数奇な運命」の裏に金正日あり

2016年10月 9日号

 いつだったか、北朝鮮の「プルガサリ」という大怪獣映画を観て、その奇抜な発想に驚いたことがある。なんと怪獣は鉄が大好物で、刀であれ大砲であれ農具であれ、むしゃむしゃ食べてしまうのだ。
 実は、この映画の監督が、金正日(キム・ジヨンイル)に拉致された韓国の申相玉(シン・サンオク)だったと遅ればせながら知った。映画は金がプロデュースして、1985年に製作された。
 申は、韓国では有名な監督だった。彼は78年に香港で失踪した元妻で女優の崔銀姫(チエ・ウニ)を捜しに出かけて拉致されたのだ。それが5年後、北朝鮮で映画作りに携わっているとわかって、日本でも自発的亡命ではないかと話題になったことがある。
 ロス・アダム、ロバート・カナン共同監督の英国映画「将軍様、あなたのために映画を撮ります」は、なぜ2人が拉致され、そこから脱出できたかの真相を明らかにしたドキュメンタリーである。
 映画は、すっかり老いた崔の語りを中心に、いまは亡き申が事件当時の事情を明かした録音テープや、事件にかかわりのある人々のインタビューなどで構成されていて、2人のミステリアスで数奇な運命を浮かび上がらせている。
 金正日は、幼少の頃から映画マニアで、数多くの外国映画を観て過ごした。だから北朝鮮で作られる「首領様のために泣いて死ぬという内容」の映画にはうんざりしていた。彼は優れた映画の作り手を求め、2人を「連れてこい」と命じた。そのことを自慢げに話す金のテープが残っている。
 詳細は省くが、やがて2人の映画は世界的にも脚光をあびる。金は2人の手を借りて自国の文化を高めようと、初めての恋愛映画も誕生させた。
 申は金に「代表作を作るまでは帰れといわれても帰りません」と誓い、意気投合した。3年弱で17本も作れたのである。が、それでも2人は脱出の機会を狙っていたのだ......。なぜか。
 この映画から独裁国家の悲惨もみえてくる。
(木下昌明)

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