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台風10号被害で被災者7万人? 北朝鮮が海外に異例の支援要請

2016年10月 2日号

 9月9日に5回目の核実験を行った北朝鮮。日米韓の3カ国を中心に怒りや脅威論が渦巻いていることを知ってか知らずか、実験の成功に大喜びしていた北朝鮮だが、そんな状況に冷水を浴びせる事態が発生している。8月29日から9月2日かけて北朝鮮国内を襲った台風10号による被害が、思わぬ大災害をもたらしているのだ。
 特に、北朝鮮東北部の咸鏡(ハムギヨン)北道で発生した洪水被害がひどく、北朝鮮現地に駐在する国連関係者は「死者138人、行方不明者400人」(9月14日現在)という。
 また北朝鮮国営の朝鮮中央放送も死者・行方不明者で数百人、被災者は約7万人近いと被害の発生を報道。しかも「建国以来の大災害」と自ら認めるほどの被害になっているようだ。
 昨年も同地域で洪水が発生、中朝国境の経済都市・羅先(ラソン)市を中心に水害が発生している。ただ異例なのは、今回は北朝鮮政府が海外にも自ら支援を求めている点だ。
「羅先市での被害には、国連機関や海外の慈善団体から救援物資などは送られたが、政府から支援を要請したことは皆無だった」(中国の国連関係者)
 1990年代半ば以降、餓死者が相次いで発生した経済難は、水害など自然災害が引き金となった。2010年以降、緩やかな回復軌道にある北朝鮮経済ではあるが、「治水対策や防災など国家が行うべき事業にまだ手が回っていない証拠」(日本政府関係者)ともいわれている。
 今年5月に36年ぶりの党大会を開き、経済成長のための政策を相次いで打ち出した金正恩(キム・ジヨンウン)党委員長だが、「復旧支援に経済的・人的資源を回さざるを得ず、計画は達成できないだろう」(北京の北朝鮮関係者)。
 相変わらず威圧を強める北朝鮮の対外姿勢は、国内情勢のお粗末さの裏返しなのかもしれない。
(浅川新介)

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