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緊張の度合い高まる「南シナ海」 米国対ベトナム武器禁輸を解除

2016年6月12日号

 大胆な決断だ。
 米国がベトナムへの武器禁輸の全面解除を決めた。1975年にベトナム戦争が終結して以来の、軍事的な全面和解となった。
 ベトナムを訪れたオバマ大統領は5月23日、チャン・ダイ・クアン国家主席と会談。その後の会見で武器禁輸の解除を発表した。合意の矛先には当然、中国を見据えている。
 既に2014年、米国は武器禁輸の一部解除を行っていた。オバマ大統領は、今回の合意の理由を「中国を狙ったものではない」とひとまず否定したうえで、「海洋の安全保障は米国の深刻な懸念だ」と表明した。南シナ海で軍事プレゼンスを強める中国に対し、「航行の自由」作戦で対抗する米国が中国を牽制(けんせい)したいのは間違いない。
 同時に、中国と国境を接するベトナムにも、南シナ海での領有権争い以上に軍事的優位を保っておきたい必要性があった。ベトナムにとって、これまで自国防衛の武器はロシア製がほとんどだった。一方、中国の武器もロシア製が元になったものが多い。
 このため、「ロシア製以外の、強力で現代的な武器をノドから手が出るほど欲しがっていた」(ベトナムに詳しい日本の防衛省関係者)。
 ベトナムは1995年、米国と国交正常化を果たした。今回、オバマ大統領にとっては初の訪問となったが、国交回復以降、クリントン、ブッシュと歴代大統領がベトナムを訪問している。
 ベトナムと中国は79年の中越戦争で戦火を交えた。その後、経済的関係を深めてきたが、中国が南シナ海での領有権争いを本格化させたことに伴い、両国は軍事的対立も辞さないほどの緊張関係にある。
 中国の海洋進出に対してクギを刺したい米国と、現実問題として中国の脅威を目の当たりにしているベトナム。周辺各国の権益と思惑が入り乱れる中、南シナ海ではいよいよ緊張の度合いが高まりそうだ。
(浅川新介)

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