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21世紀の「バベルの塔」伝説か ドバイとサウジが競う世界一

2016年6月12日号


 世界で建造物の"高さ競争"が過熱している。
 現在の世界一はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに建つ「ブルジュ・ハリファ」(828メートル)。中国の「上海センター」(632メートル)が続く。東京スカイツリー(634メートル)は電波塔のため対象外だ。
 今年は中国・深セン(しんせん)の「平安国際金融センター」(約600メートル)、韓国一の「ロッテワールドタワー」(555メートル)が完成予定。さらにサウジアラビアでは、約1000メートルの「ジッダ・タワー」が建設中で、完成後は世界一に躍り出る。
 これに「待った」をかけたのが、ドバイの不動産大手「エマール・プロパティーズ」が4月に発表した「ザ・タワー」。ドバイ万博(2020年)までに完成予定で、やはり同社が手がけたブルジュ・ハリファより「一段階高い」という。世界一狙いは明らかで、数字を公表しないのはトップを争うことになるジッダ・タワーなどへの牽制(けんせい)だろう。
 スペイン出身の建築家、サンティアゴ・カラトラバ氏による設計は「バビロンの空中庭園」がテーマの一つ。ただし、ドバイはビル火災が多く、安全確認のため風洞試験や耐震試験を経て最終案を決める。
 気になるのは、10億ドル(約1090億円)とされる建設費。
 09年のドバイ・ショックではオイルマネーに沸いたアブダビに助けられたが、ドバイの債務は今も多く残る。また、原油がほとんど出ないドバイは、オイルマネーで潤う周辺国からの投資や観光が頼みの綱。ところが昨今の原油価格低迷のあおりで産油国の懐事情も厳しく、畑中美樹(よしき)・国際開発センター研究顧問によれば「ドバイへの観光客は明らかに減っている」とか。ライバルのジッダ・タワーも建設会社の資金難で、19年以降まで完成がずれ込むと報じられた。
 21世紀の「富と権威の象徴」とでも呼ぶべき超高層建造物群。天を目指した人間に神の罰がくだった「バベルの塔」を想像してしまうのは気のせいか。
(中川美帆)

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