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「2・28事件」と日台関係の今後

2016年3月20日号
 台湾では、敗戦により日本が撤退した後の1947年2月、中国国民党(国民党)政府による住民への武力弾圧「2・28事件」が起き、最大2万8000人が殺害されたとされる。犠牲者の中には日本人もいた。
 事件で父親が殺害された青山恵昭(けいしよう)さん(72)=沖縄県浦添市在住=は、被害者や遺族のために設けられた政府系の財団法人を相手取り、台北の高等行政法院(裁判所)に提訴した。同法院は2月、賠償金として600万台湾元(約2000万円)を青山さんに支払うよう命じ、確定した。同事件に関連して、外国人への賠償が認められたのは初めて。
 青山さんの父恵先(えさき)さん(当時38歳)は戦時中、台湾から出征し、ベトナムで終戦を迎えたが、戦後に家族が日本へ引き揚げていたと知らずに台湾に戻り、事件に巻き込まれた。犠牲になった日本人は少なくとも他に3人いるとみられるが、台湾側は犠牲者と認定していない。
 一方、今回の画期的な判決が、台湾に対する日本の戦後賠償の見直しを迫る契機となる可能性も出てきた。敗訴した財団法人の理事長が、2月28日に行われた事件から69年の式典で「平等互恵の原則」に基づき、今度は日本政府による台湾人の旧日本兵や元慰安婦への補償の必要性に言及したからだ。
 日本と韓国が昨年末、慰安婦問題で合意したことに伴い、台湾側でも賠償などの実現に期待が高まった。だが、日本政府は「台湾は韓国とは状況が違う」(菅義偉官房長官)として、台湾側との協議入りに応じていない。
 東日本大震災後、いち早く義援金や救援物資を送った台湾と日本の関係は親密さを増している。とはいえ、今回の判決を指して「台湾はいまだに日本の植民地」と批判する意見もあり、台湾は決して"親日"一色ではない。馬英九総統は「我々は先に友好の手を差し伸べた」と、日本政府の対応を注視している。
(志村宏忠)

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