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低所得者向け自動車ローン急増

2016年2月28日号
 昨年末の利上げに続き、今年中に4度あるとみられた米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが先送りされる可能性が高まっている。
 中国減速に伴い、新興国経済が危機的な状況に陥っているためだ。また、米経済も失業率や時間当たり賃金が改善する一方、雇用(非農業部門)の増加数は予想を下回るなど景況感はまちまち。市場では「年内は1回も利上げはないのでは」との観測も聞かれる。
 しかし、「FRBには利上げを急がなければならない差し迫った事情がある」とメガバンク関係者は指摘する。このまま過剰なマネーを市場に放置すれば、バブルを膨張させかねないためだ。象徴は「自動車ローン」にある。
 ニューヨーク連銀の調査によると、直近の2015年7~9月期の新規自動車ローンの組成額は約706億ドル(約8兆2000億円)に上る。このうち低所得者を対象としたサブプライムローン関連の組成額は約328億ドルで、全体の46%強がリスクの高いサブプライム向けで占められている。
 一方、住宅ローンのサブプライム融資が問題になった06年1~3月期のピーク時組成額は272億ドル。つまり現在の米国の自動車ローン組成額は、住宅ローン問題での組成額を上回り、既に"バブル状態"にある。放置すれば、さらにローン残高は膨張し、破裂した時の衝撃はリーマン・ショックを超えかねない。米通貨監督庁(OCC)のカリー長官も懸念を示している。
 サブプライム向け住宅ローンは証券化され、世界で販売された。その影響は日本にも及んだが、当時の閣僚は「サブプライムローン問題は、日本には蜂が刺した程度の影響だ」と軽視した。しかしその後、問題は日本の投資家にも深刻な影響を与え、リーマン・ブラザーズ破綻へと繋(つな)がった。
 その轍(てつ)を踏みたくないFRBだが、折しも大統領選のさなか。景気を冷やす利上げは政治的にどこまで許容できるのか。イエレン議長、最大のジレンマである。
(森岡英樹)

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