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青い空白い雲
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コロナで大学は用無し? 藤井聡太君の「自主中退」が最善手かも?

2021年3月21日号

牧太郎の青い空白い雲/807

 将棋の大山康晴・十五世名人(通算1433勝)は数々の「名言」を残している。

 一番好きな言葉は「平凡は妙手にまさる」である。

 将棋道だけでなく、奇をてらって生きようとする人もいるが、これは一時的なもの。大山さんは「功名心をしりぞけて、平常心、不動心を持ち続けよ」と言い続けた。

 「平凡」に生きるのが〝最善手〟なのかもしれない。

 もう一つ(30年も前のことだが)大山さんには見事的中した「予言」がある。

 「機械と勝負してはダメだ。いつか、機械に勝てなくなる」

「機械」とはAIのことだろう。機械(AI)には「感情」がないから強い!と看破していた(15年前のアンケート調査で、ほとんどの棋士が「プロがAIに負けるはずがない!」と答えていたが、通算勝利数で大山さんを抜いた天才・羽生善治九段は「2015年ごろ、AIに抜かれる」と予言している)。

 その「AIの申し子」のような藤井聡太君(王位、棋聖の二冠)が1月31日付で名古屋大教育学部付属高を退学した。間もなく卒業を迎えるシーズンなのに?「将棋に専念したい」というのが自主退学の理由だった。

 その昔、棋士は中卒が普通だった。高校進学は「プロになれない者の保険」と言われた。彼らの多くは10代から20代、プロ養成機関「奨励会」で過ごし、1分1秒でも多く将棋に時間を注ぐ。しかし、多くは夢破れ、去っていく。子供たちの将来を考え、親は高校・大学進学を勧めるようになった。

 彼らは「進学」で悩む。

 トップ棋士の一人、永瀬拓矢王座は高校をわずか2日で辞めている。逆に、広瀬章人八段は6年掛けて早稲田大学教育学部を卒業した。天才・羽生善治九段は対局が多くなり、出席日数が足りず、都立高校を通信制に変更、卒業した。

 藤井君も出席日数が足りず「留年」が確定的になったのだろう。

 親孝行?で高校に進学した藤井君は悩み続けた。

 でも、人々が高校、大学を選ぶのは「学歴のためだけ」では断じてない。キャンパスで過ごした「時間」「友人」「孤独」「付き合い」......孤高の道を歩む藤井君を支えてくれたのは「ごく普通の青春」だったはずだ。彼は「大学進学」だって考えたと思う。

 でも......新型コロナ騒動で、今の大学はオンライン授業。キャンパスは閉鎖され、昨年春、大学に合格した僕の孫は全く通学していない。高い授業料を払っても、多くの大学が「素晴らしい青春時間」を約束しない。

 コロナ時代、藤井流の「自主退学」も、もしかして「最善手」かもしれない。

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