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青い空白い雲
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学術会議は赤い巨塔!と主張する「令和レッドパージ」の面々

2020年11月29日号

牧太郎の青い空白い雲/792

 トランプvs.バイデンのアメリカ大統領選では「民主主義の分断・崩壊」が指摘されたが、はっきり言えば「アメリカの自由と平等」はかなりいいかげんである。

 例えば終戦後、占領国・日本で強引に進められた「レッドパージ」である。

 アメリカのGHQ(連合国軍総司令部)は治安維持法や特別高等警察などを廃止して日本の民主化を推進。日本共産党も合法化された。ところが、労働運動が激しくなって、大掛かりのデモやストライキが起こり、同時に中国大陸の内戦で毛沢東が率いる中国共産党が勝つと、GHQは共産主義勢力を弾圧する方針に転じた。

 1950年5月3日、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーは日本共産党の非合法化を示唆。5月30日、皇居前広場で日本共産党に指導された人々と占領軍が衝突すると、日本共産党の幹部に対して団体等規正令違反容疑で逮捕状が出された。逮捕状が出た9人は〝地下〟に潜行。一部は中国に亡命した。

 マッカーサーは当時の首相、吉田茂に対し「共産分子の活動に関する書簡」を送り〝弾圧〟を命じる。「赤狩り」である。官公庁、教育機関、大企業、報道機関も「日本共産党系」がパージ(一掃・抹消・粛清)された。

 民主主義の国・アメリカ合衆国でも時と場所が変われば平気で「反民主主義」になる。アメリカから「民主主義」を教えてもらった日本国も同じだろう。

 臨時国会の焦点の一つになっている「日本学術会議の任命拒否」騒動も、コトの本質は「レッドパージ」ではあるまいか?

 前回「熱烈な反共主義者『令和の蓑田胸喜(むねき)』が官邸を支配している!」で、

〈どうやら「任命拒否」の狙いは「共産党寄りの大学」を粛正する運動の始まり?〉と書いたが、官邸だけではない。政権寄りの論客は最近、「学術会議は赤い巨塔!」と〝合唱〟している。

 なぜ「赤い」のか?

 当方が知る範囲で言えば、彼らが〝標的〟にしているのは元日本学術会議会長・廣渡清吾(ひろわたりせいご)さんではあるまいか? ドイツ法・比較法が専門の東京大名誉教授。2015年夏、安全保障関連法案に反対して話題になった若者の反戦団体「SEALDs(シールズ)」のデモの先頭に立って歩いた。

「この法案ができても、戦争に巻き込まれることはない」と言い訳する(当時の)安倍首相に対して、廣渡さんは集会で「本気でそう思っているなら安倍さんはバカだ!」とこき下ろした。

 政権寄りの論客は「廣渡がトップだった学術会議は赤だ!」と思っている。菅首相は「任命拒否の理由」を明らかにしないが、これは「令和のレッドパージ」だ。

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