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青い空白い雲
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愛之助並みの〝股間男〟中曽根康弘に「国葬」なんていらない!

2020年10月25日号

牧太郎の青い空白い雲/787 

 ドラマ「半沢直樹」の驚異の視聴率の秘密は歌舞伎役者の顔芸の数々。オネエ言葉が〝売り〟の片岡愛之助が演じる金融庁検査局・主任検査官の「黒崎駿一」は独特なキャラで世界的な存在になった。台湾では『黒崎皇后(娘娘)』と呼ばれ、大人気。得意技の「股間握り」は世界が注目する〝愛情の表現〟になってしまった。

 実は「股間握り」の被害者になったことがある。

 現役の政治記者だった昔。記者クラブの送別会で、送られる当方は上座に座ったのだが、隣が「中曽根康弘・行政管理庁長官」。宴もたけなわ。酔い歌い、中曽根さんも「赤城の山も今宵(こよい)かぎり、可愛い子分たちとも......」とセリフ入りでご機嫌だったが、席に戻った瞬間である。隣の当方の股間を力いっぱい、潰しにかかった。

 小さな声で「新聞記者は相手の急所をグッと握るようでなければいけない!」と囁(ささや)く。

 多分「見当違いの批判記事ばかり書きやがって!」というのだろう。倍返しの「股間握り」だった。

 それにも負けず、当方、その後も首相になった中曽根さんを追いかけ『小説 土光臨調 中曽根政権への道』(角川文庫)、『中曽根政権・一八〇六日(上・下)』(行研)、『中曽根とは何だったのか』(草思社)と3冊も本を書かせてもらった。

 当方47歳で脳卒中で倒れ、9カ月後に退院すると、中曽根さんは赤坂の中華料理店に誘って「元気になって、俺の批判を書いてくれ!」と言ってくれた。

「戦後政治の総決算」を掲げ、5年間にわたる長期政権で国鉄分割民営化などを実現、憲法改正論議にも大きな影響を与えた中曽根さん。(当方とは価値観が大分違うが)間違いなく〝男の中の男〟。「昭和」を代表する大政治家だった。

 その中曽根さんの「内閣・自民党合同葬」が10月17日に行われる。しかし、案内状がないと一般人は参加できない葬儀のために、政府が一般会計予備費から約1億円(正式には9643万円)を支出するのはいかがなものか?

 コロナ大不況の最中、中曽根さんは「こんな無駄遣い、やめてくれ!」と思っているはずだ。

 母が亡くなった時、中曽根さんが生花を送ってくれた。礼を言うと、中曽根さんは「気にするな。葬式は死んだ人間とは無関係。生きている者のための儀式だからな」と冗談めかして笑ってくれた。

 得意技「股間握り」の中曽根さんは「国葬並みの葬儀も菅政権の選挙運動」とは百も承知、二百もガッテン?

 もう少し上手に利用してくれ!と笑っているはずだ。

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