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青い空白い雲
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令和2年の大予想!"預金"すると手数料を取られる?

2019年12月 8日号

牧太郎の青い空白い雲/745

 「みずほ銀行」から〝仰々しい通知〟が来たのは多分、9月初めのころだった。今回も、何か「役に立たない広告」だろう?と屑(くず)籠に捨ててしまった。

 この〝通知〟が「十月から窓口での振込や両替手数料を引き上げます」「来年三月からはATM(現金自動受払機)での振込手数料も引き上げます」という〝一方的な通告〟だったことに気づいたのは、ごく最近である。

 迂闊(うかつ)だった。1000万円預金すれば「月に四回振込手数料ゼロ」といったサービスはどうなるんだろう?

 腹が立った。

「みずほ」には過去2回大規模なシステム障害を起こした〝古傷〟がある。2002年4月1日、第一勧業、日本興業、富士の旧3行が合併した時「二重引き落とし」の大規模システム障害を起こし、さらに11年3月の東日本大震災直後にはATMが動かなくなった。

 不安だ。「みずほ」は止(や)めようかな?と何度も思った。

 でも、好きな銀行だ。富士銀行時代からの「付き合い」である。約4000億円の巨大なコストをかけて、新システムを作る!というので(昨年6月からの移行作業で再三、ATMが使えない不便を我慢して)預貯金を続けていたのに......「システム統合終了」と同時に、一方的に手数料を値上げする?

 複雑な思いだ。

    ×  ×  ×

「そんなことで腹を立てていたら、命がなくなるぞ。いずれ、銀行に口座を持っているだけで、カネを取られるようになるんだから」。例の元銀行マンの知人にそう言われた。

 そういえば、そんな理不尽なことを小耳に挟んだような気もするが......。「口座維持手数料というんだけど......預金口座を維持するために、銀行はデータ管理、通帳の印紙税などで一つの口座で、年間2000円ぐらいカネを掛けているんだ。このサービスの対価として、口座維持手数料を徴収したい。この数カ月、メガバンクの頭取は手数料の導入をにおわせているんだ」

 預金するだけでカネを取られる? そんな理不尽なことが現実になるのか?

 調べてみたら、確かに日本銀行政策委員会審議委員の「鈴木人司」という人が「貸出金利が一段と低下した場合、金融機関が預金に手数料等を賦課し、預金金利を実質的にマイナス化させることも考えられます」と言い出している。(今年8月末の「熊本県金融経済懇談会」で)

 でも、この人は「三菱東京UFJ銀行(当時)副頭取」だったから、メガバンクの代弁者?なのだろう。日銀全体がそう考えてはいないだろう。少なくても、導入には「それ相応の議論」が必要だ。

    ×  ×  ×

 ほとんど利息の付かない銀行口座にカネを預けるために年間数千円?の手数料を払わされる。これは詐欺ではあるまいか?

 そんな気がする。

 でも、知人は「銀行を責める前に口座維持手数料導入まで考えなければならなくなった原因を議論すべきだ」という。

 確かに、黒田東彦さんが日本銀行総裁に就任して以降、銀行の経営は青息吐息だ。黒田日銀は「デフレ退治」のために異例の金融緩和を推し進め、銀行が日銀に預金する時の金利や、国債市場などで取引される金利は〝マイナス〟になってしまっている。

 言うまでもなく、銀行は預金者から集めた金を貸し出すことで、預金金利と貸出金利の差、つまり「利ザヤ」で稼ぐ。

 マイナス金利で「利ザヤ」がなくなれば「理不尽な手数料」で稼がなければならない。

 考えてみれば、日銀の金融緩和政策に無理があるのだ。

    ×  ×  ×

 この制度はすでにアメリカでは導入されている(ただし、常に口座残高が1万㌦を維持していれば手数料は免除)。さて、日本では?

 知人は「来年にも口座維持手数料は導入される」と予想しているらしいが、そうすると、どんなことが起こるのか?

 日本全体の口座数は約12億。1人が10口座持っている計算だ。

 手数料が掛かる!と知れば、人々は複数の口座を一本化するだろう。そうなれば、金融機関の間に「新たな戦争」が起こる。どの金融機関に口座を残すか、解約するか? 何とも言えないが、多くが、メガバンクや「ゆうちょ」にシフトするのではあるまいか?

 地方銀行、信用金庫は「口座維持手数料」を取ったら〝お客離れ〟に苦しむだろう。

 どう転んでも、来年も銀行の氷河期が続く。

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