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青い空白い雲
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トランプが「イラン戦争」を始めたら自衛隊は参戦する?

2019年6月 9日号

牧太郎の青い空白い雲/720 

 イラン戦争は起きるのか? 新聞、テレビは殆(ほとん)ど触れていないから「まさか?」とは思うが......油断はできない。戦争は偶発的な出来事で始まるものだ。
 ことの始まりは「核合意」。2015年に締結された「イラン核合意」はイランの核開発を制限する"見返り"に経済制裁を解除するというもの。アメリカとイラン、それにイギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国も参加した。
 ところが、トランプ政権は「イランが中東のイスラム武装組織を支援している!」と文句をつけ、昨年5月「核合意」から離脱した。以降、原油をはじめ、イランからの禁輸措置が強化された。一方、イランは対抗して、ホルムズ海峡を封鎖する!とほのめかす。
 海上輸送される「世界の原油の約3分の1」がホルムズ海峡を通過する。アメリカもイランも、ホルムズ海峡を「最重要の戦略的要衝」と位置付け、にらみ合いを続けている。
 イランの精鋭部隊「革命防衛隊」のトップは「アメリカとの軍事衝突が迫っている」と警鐘を鳴らし、アメリカは空母エイブラハム・リンカーンと「核搭載可能な戦略爆撃機による部隊」を中東に派遣。今年5月15日にはイランの隣国イラクからも「緊急要員以外の大使館職員の退避」を命じた。
 アメリカとイラン、どちらも「戦争は避けたい!」と言ってはいるが、戦争の準備は着々と進んでいる。これは"開戦前夜"ではあるまいか?
 アメリカは「戦争大好き」である。「大量破壊兵器を保有している」という証拠を捏造(ねつぞう)してまで、イラク戦争を始めた。泥沼のベトナム戦争はまさに"狂気の沙汰"だった。多くの日本人は米中経済戦争に注目しているが、イランに対する武装攻撃の方が深刻ではないのか?
    ×  ×  ×
 日本は「イラン戦争」に無関心でいられるのか?微妙である。トランプ・安倍の蜜月ぶりを見ていると、日本は(憲法違反を承知の上で)自衛隊をイラン戦争の現場に送り込むことだってあり得る。
 というのも、日米には「戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮下に入る」という「密約」が存在したからである。占領終結直後の1952年7月23日と、54年2月8日の2回、当時の吉田茂首相は極東米軍の司令官と会談。口頭で「米軍の指揮下に入る」と約束した。
 朝鮮戦争(50年)で、苦境に立たされた米軍が日本に戦争協力を求め、それに応えたのだろう。「日米軍事協力」は今でも「横田空域」(新潟県から東京西部、伊豆半島、長野県までの1万2000フィートから最高2万3000フィートの高度の空域)では、米軍が管制業務を行っている。
 この「密約」は、すでに法的な力を持たないと思うが、2017年11月5日、トランプが大統領として初めて来日した時、大統領専用機で、米軍横田基地に到着すると、米軍だけでなく、自衛隊関係者を前に「私が大統領である限り、敵に対抗し、勝利に必要な(軍事的)資源を持てるようにする。常に、常に(米国は)勝利する」と訴えた。
 自衛隊を「我が兵隊」と言わんばかりの大演説。自衛隊は米軍の指揮下にある!と言いたかったのではないか?
 いずれにしても、イラン戦争になれば、自衛隊は米軍を武力支援するだろう。
    ×  ×  ×
 日本は「戦争大嫌い」な国だ。それでも、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後(くなしり)島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員は「(戦争をしないと北方領土を)取り返せない」などと言い放った。
 口にこそしないが「戦争好き」の政治家は彼以外にもかなり存在する。
 もし、日本がイラン戦争に足を踏み込み、不幸にも自衛隊に犠牲者が出たりしたら、どうだろう? 入隊者は激減するだろう。そうなれば「戦争好き」が"徴兵制の復活"まで言いだすかもしれない。イラン戦争は「米中経済戦争」より、日本にとって「重たい選択」を強いることになるのではあるまいか?

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