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青い空白い雲
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「強姦ハメ撮り議員」は現行犯逮捕されるべきだった!

2019年3月17日号

牧太郎の青い空白い雲/709 

 酔っ払って寝ている女性をレイプ。その模様を盗撮した「強姦(ごうかん)ハメ撮り議員」。女性被害者の言い分通りなら、卑劣極まりない。
 逮捕しなければ「正義」が死ぬ。
 でも、自民党二階派の田畑毅衆院議員の場合は許されている。憲法50条には「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」とある。いわゆる「不逮捕特権」である。
 不逮捕特権は明らかに「法の下の平等」(憲法14条1項)に反する。それでも「例外」として、国会議員にだけ不逮捕特権が認められているのは、議員の身体の自由を保障し、政府によって議員の職務執行が妨げられないようにするためである。しかし、これは"時代遅れ"だ!
 大体「不逮捕特権」の由来は、中世のヨーロッパで、王が対立する議員を政治犯として不当に逮捕したことにある。命がけで「権力」に立ち向かう議員を守るための「例外規定」だった。
 しかし、今の日本で、そんな「反権力の政治家」が存在しているのか? 第一、今の国会、まともな審議を行っているのか?はなはだ疑問だ。いまや「不逮捕特権」は、劣化した議員の「不正」「不道徳」を隠す道具になっている。
    ×  ×  ×
 吹けば飛ぶような「物書き」ではあるが、『サンデー毎日』の編集長だった頃、「これ以上、権力の不正を追及すると、こちらがいわれのない罪で逮捕されるかもしれない」と神経質になっていた。時の首相の女性スキャンダルを紙面化して辞任に追い込んだ頃、参院選で大敗北した与党の要人から「君を牢屋(ろうや)に入れておけばよかった」と笑われた。もちろん冗談だが、世の東西を問わず「反権力のジャーナリスト」が拘束されるケースは枚挙にいとまがない。
 ジャーナリストだけではない。公務員も「権力の不正」を暴くと、守秘義務に反したという理由で逮捕される。なぜ、国会議員だけが逮捕されないのか?
    ×  ×  ×
 しかし、この「例外規定」にも「例外」がある。「院外における現行犯」(国会法33条)の場合である。例えば、路上で人を殴って、その場で逮捕された場合、不当な逮捕とは言えない。現行犯は「不逮捕特権の例外」なのだ。
「昏睡(こんすい)レイプ・ハメ撮り議員」の場合はどうだろう? 女性被害者はトイレに駆け込む。田畑議員がドアを叩(たた)き「開けて~」と叫ぶ。さらに怖くなった彼女は勤務先の社長と母親に電話し「盗撮されている」と110番している。
 社長の到着から10分ぐらいして、警察官が5人ほど駆けつけ"事情聴取"が始まった。田畑議員は、この時、警察に対して「自慰のオカズにするために撮った」と話しているらしい。
 被害女性の映像が確認され、田畑議員が「盗撮」を認めているから現行犯ではないのか? ごく普通の人間なら、その現場で身柄を拘束されるだろう。
 勝手な想像だが、現場の警察官は上層部に「事件」を報告し、警察庁は「犯罪性」を認識しながら関係者を現場から帰した。もしかしたら、現行犯でも議員は逮捕されない!と勘違いしたのか?
 そうではあるまい。警察は「天下党の大幹部の子分」を"お縄"にすれば、己の出世に傷が付く!と思ったのではあるまいか?
 こんな面倒な騒ぎに巻き込まれた警察は気の毒である。しかし、僕は「昏睡レイプ・ハメ撮り議員」は現行犯逮捕すべきだった!と思っている(加害者と被害者が、以前親しい関係だったので帰したと言うが、夫婦間でも暴力行為は逮捕されるのが、ごく普通だ)。
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 なぜ、この事件で「現行犯逮捕」が必要なのか?
 理由は、おバカ議員たちの認識不足にある。自民党の重鎮・伊吹文明元衆院議長は、「いろんなことあるけれど、問題にならないようにやらなきゃだめだ。やるにしても」と言い放った。衆院議長を務めた人物でさえ「準強制性交」での刑事告訴を軽く見ている。
 改めて言う。国会議員に「特権」を与えてはいけない! 憲法50条の「国会議員の不逮捕特権」は"時代遅れ"だ。
 昏睡レイプ・ハメ撮りだけではない。公文書偽造、統計偽造、国有地安売り......政治家たちは、いまや「犯罪集団」なのか?
 離党届で逃げ切ろうとした田畑議員だったけど、2月27日になって議員辞職願を出した。でも、"被害者"や有権者への謝罪などはなく、「一身上の理由」というのも、いかにもこのセンセイらしい。さて、忖度(そんたく)する必要のなくなった警察がどう動くのか。

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