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青い空白い雲
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「売り家と唐様で書く三代目」でなければいいのだが?

2019年2月 3日号

牧太郎の青い空白い雲/703 

「芸の道」では二代目、三代目が概して優秀であろう。初代と比べ「落ちる!」と言われれば"商売"にならない。歌舞伎の大名跡「市川團十郎」も二代目が人気も実力も初代を抜いていた。享保6(1721)年には給金千両。「千両役者」という言葉が生まれた。
「芸の道」だけではない。実力の世界では後継者が「先代」を抜こうと頑張る。伝説のヤクザ「山口組三代目」などはその典型である。
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 漫画・アニメの世界では「三代目」が活躍する。
 古くは「ルパン三世」。1967年から69年まで『漫画アクション』で連載されたモンキー・パンチの漫画。主人公は"世紀の大泥棒"アルセーヌ・ルパンの孫。日本人とフランス人(祖父方)のハーフで、どんなものでも盗んでしまう。変装、脱緊縛程度はお茶の子さいさい。アルセーヌ・ルパンの「三代目」は初代以上の怪盗?である。
 多分、日本人が「3」という数字が好きなのだろう。だから「三代目」は支持される。
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 ところが、実社会で「二代目」「三代目」の評判はイマイチ。特に経済力に関しては甚だ疑問だ。「親苦子楽孫乞食」という言葉がある。親は苦労して財産を作り、子は遊んで浪費し、孫の代には落ちぶれ「乞食」になる。
「売り家と唐様で書く三代目」というのは、もっと具体的だ。初代は苦労して財産を残し、二代目はそのおかげで暮らしたものの、三代目になると遂に没落。家を売りに出す羽目になる。その売り家札はしゃれた唐様で書いてある。三代目は「道楽」にハマるものだ。
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 政治の世界で「二代目」「三代目」の評判はどうだろう。初代が活躍した「昭和」と世襲議員が大半の「平成」を比べてみると、その差は歴然としている。
 世界第2位の経済大国になった昭和。それに引き換え、平成の30年間、歴代政権(ほとんどの首相が世襲)の政策は日本を衰退させた。その結果、国と地方の長期債務は現在1107兆円。世界でも類を見ない巨額の債務。GDPの2倍近くにも上る。このままでは2040年には2700兆円にまで膨らむ。
 この頃、65歳以上の高齢者は約4000万人、これを支える「現役世代」(15~64歳)は約6000万人。社会保障は崩壊する。日本は「売り家と唐様で書く三代目」状態に向かっているのだ。
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 初代・岸信介、二代目・安倍晋太郎を継ぐ「三代目」安倍晋三首相がすべきことは財政再建である。だというのに、この三代目は「外交」という道楽にハマっている。世界中にカネをばら撒(ま)いて悦に入っている。困ったことだ。
 最近は日露平和条約に夢中だ。
「道楽」にはカネがかかる。ある程度の負担は仕方ないが、日露協議は、ロシアのやりたい放題!という雰囲気だ。ロシア側が国営テレビで「日本側が共同記者会見を拒否した」と暴露して"揺さぶり"をかける。中国や北朝鮮だけでなく、韓国とも関係が悪化している日本の足元を見ているのだろう。
 プーチン大統領は安倍さんより一枚も二枚も上である。
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 安倍さんが「相棒」に同じ三代目の河野太郎外相を選んだのも心配だ(河野家は初代・河野一郎元農相、二代目・河野洋平元自民党総裁)。1956年の日ソ共同宣言をまとめた立役者、河野一郎元農相の孫という「血筋」を見込んだのだろう。河野外相は対ロシアを「お家芸」と思っているのだろう。脱原発、行革、環境問題での「持論」を封印してまで、日露一本である。
 夢中になると、三代目は周囲が見えなくなる。昨年12月の定例記者会見。外相は日露に関する記者の質問を「次の質問どうぞ!」と4度も続けざまに無視した。
 こんなことで、冷静に判断できるのか?
「2島返還」が出発点ではない。交渉がもっとも上手に運んだ場合の「最終ゴール」。もしかしたら「ゼロ島返還」になるかもしれない。首相、外相の三代目コンビでは不安だ。「売り家と唐様で書く三代目」にならなければいいのだが。

 ◆太郎の青空スポット
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