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青い空白い雲
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日本共産党も天皇制と"共存"するという時代なのに?

2018年12月30日号

牧太郎の青い空白い雲/699 

「秋篠宮の乱」の話から始めたい。
 前回「大日本主義の安倍独裁か?『平和憲法』の天皇家か?」の中で、秋篠宮が「大嘗祭(だいじょうさい)は(天皇家の私的生活費である)内廷会計で行うべきだと思うと述べられたのは正論!」と書いたが、これには「反対意見」が意外に多い。
 例えば、憲法学者の小林節氏。もともと改憲論者だったが「安倍政権による改憲」に反対の立場にあり、自身のコラムで、次のように主張する。
 〈(政教分離には)ひとつ例外がある。それは、憲法制定前からの公的慣習で憲法制定者が受容した宗教儀式は許される......というものである。(中略)大嘗祭という紛れもない「宗教儀式」を抜きに継承が行われ得ない天皇制の存続を憲法自体が明文で認めている以上、天皇制に不可欠な憲法儀式を公的に行うことは、憲法自体が認めている例外なのである〉(日刊ゲンダイDIGITAL)
「例外」だから、大嘗祭は公費を用いて大々的に国の機関が行っていい!と言う。一理ある。
 しかし、これは「憲法解釈」が分かれるところ。「主権在民の憲法では天皇制が例外」と決めつけてよいのか? 意見が分かれる。
 秋篠宮は「大嘗祭は大事だ!」と断られながら、あえて「政教分離の大原則」を尊重された。
 なぜ、そこまで踏み込まれたのか? それは「時の権力」が天皇家の宗教行事を勝手に利用する気配があるからだ。
    ×  ×  ×
 明治時代、天皇は「時の権力」に利用された。「明治維新」という名前の長州支配が「天皇」を最大限に利用した舞台は「閲兵式」だった。
 天皇家は武家政権の成立以来「君臨すれども統治せず」だった。ところが、大日本帝国憲法では「国家の主権者」になり、陸海軍の大元帥に祀(まつ)り上げられた。
 やむをえず、天皇は閲兵式に出席された。
 時の権力は「天皇のため」という掛け声で侵略戦争に夢中になり、日本は敗北した。秋篠宮は「天皇家が二度と大日本主義に利用されてはいけない」と思われたのだろう。
「例外」云々(うんぬん)の憲法解釈より、もっと深い、重い、問題提起なのだ。
    ×  ×  ×
 2018年も「極右の勢い」が収まらなかった。
 かつて、閣僚経験もある自民党衆院議員が「国民主権・基本的人権・平和主義、これをなくさなければ、自主憲法ではない!」と演説し、喝采を浴びたのを覚えている。最近も「国のために命を捧(ささ)げる覚悟を!」と叫ぶ女性議員が自民党の要職に就いている。
 天皇家はこの「全体主義、大日本主義の台頭」に危機感を抱いていらっしゃる。だから、天皇は「おことば」という柔らかい形で、国民に警告されている。天皇、皇后、皇太子に代わって、秋篠宮が具体的に問題提起されたのだろう。
    ×  ×  ×
 小林節氏は「憲法解釈上の重要事項(これは高度の政治問題である)について、皇族が公に議論を発することは、天皇制の本旨に反する」と言われる。ならば、天皇は何も言えないのか? 
「全国民統合の象徴である天皇」は対外的に日本国を代表している。「政治的には無色透明」という建前で「国を代表する者」に沈黙を強いるのか? 言語道断である。
 確かに、皇族は戸籍、住民基本台帳には登録されておらず、参政権は与えられていない。しかし、参政権がないからといって、何も言えない!なんて......この憲法解釈が結果的に「安倍1強」に加担して、政府は「秋篠宮」の発言を抹殺した。
    ×  ×  ×
 最近、日本共産党の志位和夫委員長が雑誌『月刊日本』12月号で、亀井静香・元衆院議員との対談で「私たちの綱領では、先々の展望として、一人の人間が象徴となり、その地位を世襲していくことは、人間の平等や民主主義とどうしても矛盾する。だから、民主共和制を実現すべきだという立場に立つと書いています」と言いながら「天皇の制度とは長期にわたって共存していく」と話した。
 意外だった。
 多分、主義主張よりも今の天皇家は「国民のため」の存在!という判断を優先したのだろう。
 それにしても「極右勢力」に立ち向かうのは今や野党ではなく「天皇家」だけ!という心境だ。

 ◆太郎の青空スポット
 「小樽・余市ゆき物語」
 やっと雪がやってきた。北海道・小樽の冬は青色LED1万個のイルミネーションで美しい「青の運河」。雪が積もると、一段と幻想的だ。来年2月17日まで「小樽・余市ゆき物語」開催中。お薦めは「ニッカ蒸溜所 冬のナイトツアー」。煉瓦(れんが)の建物の陰から、突然、サンタが現れるような気分だ。(余市観光協会は0135―22―4115)

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