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青い空白い雲
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大日本主義の安倍独裁か?「平和憲法」の天皇家か?

2018年12月23日号

牧太郎の青い空白い雲/698 

 今回も「天皇と安倍政権」について私論を続けたい。
 永田町に(ごくごく少数だとは思うが)11月末、天皇、皇后両陛下が浜松市内の「外国人学習支援センター」を訪問されたことを批判する"向き"がある。「国会で入管法改正の議論がされている時に、外国人学習支援センターを訪れたのは、厳密に言えば、天皇の憲法違反ではないか?」というのだ。
 両陛下は支援センターで、外国人に対して「どうぞ日本で幸せにお過ごしください」と言葉をかけ、日本人ボランティアに「(外国人の)日本での滞在が楽しいものになるよう、皆さんのご努力が大事ですね」と激励された。
 たまたま、国会は入管法改正案で与野党激突。そんな時期だから、安倍首相周辺は「両陛下の激励の言葉は法案に反対の野党に味方している。天皇が国政に関与したことにならないか?」というのだ。
 冗談じゃない。もともと、両陛下は7月に私的旅行で静岡県をご訪問する予定だったのが、西日本豪雨の影響で延期になっただけ。入管法改正案の国会審議とは関係ない。仮に、両陛下が「安倍政権に対する皮肉」を込めて話されたとしても、これは「陛下の自由」ではないか? 「安倍1強」体制に違和感を持つ私は、柔らかい表現で、外国人労働者にエールを送る「真摯(しんし)な姿勢」に拍手喝采だ。
    ×  ×  ×
 畏れ多いが、 12月2日号の当欄で「『天皇』は政治的発言を過度に自粛する必要はない!」と書いた。
 日本国憲法による象徴天皇は"極めて重要な政治的存在"と思っている。もし「天皇」が存在しなければ、国家としての「対外的な代表」はいなくなり、国会の召集も、法律の公布も、首相の任命もできなくなる。
 にもかかわらず、政治家たちは「天皇は政治的発言ができない」と決めつけている。
 天皇に基本的人権はないのか? 
 その窮屈な状況で、天皇は光格天皇に学び、あえて「生前退位」を主張された。ビデオメッセージで天皇は"象徴"としての望ましい在り方を「日々模索しつつ過ごして来ました」と話された。その「模索」の結果......天皇は「生前退位」を主張された。
 健康上のこともあるだろう。しかし、そこには「象徴天皇は時の権力に利用されていてよいのか?」という"怒り"が隠されている。
 平和憲法を蔑(ないがし)ろにして、日本を軍国化する安倍政権に、象徴天皇が(結果的に)加担してよいのか?
 その思いが「生前退位」という「超自由な発言」に結びついた。「生前退位」をキッカケに、「日本の有りよう」を国民に考えてもらいたい。強いご意志だ。
 天皇家は覚悟された。だから「外国人学習支援センターの訪問」にケチを付ける輩(やから)がいても、もはや平気だ。
    ×  ×  ×
「生前退位」に対し、安倍政権は報復に出た。天皇のビデオメッセージを許した、当時の風岡典之・宮内庁長官を"時期外れの人事"で更迭。山本信一郎次長を長官に昇格させ、次長の後任に警察庁出身の西村泰彦・内閣危機管理監を送り込んだ。人事で「天皇家の発言」を封じ込めようとした。
 そこで飛び出したのが「秋篠宮さまの発言」である。
 11月30日の53歳の誕生日に先立って行われた記者会見で、来年5月に即位する新天皇が五穀豊穣(ほうじょう)を祈る皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」について「宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、やはり(天皇家の私的生活費である)内廷会計で行うべきだと思う」と述べられた。憲法の政教分離の原則から見れば「正論」である。
 安倍政権は「宗教的性格がある」と認めながらも、「極めて重要な伝統的皇位継承儀式で公的性格がある」という理由で20億円以上の公費を使おうとしている。秋篠宮さまはこれを正したい。「平和憲法」を守るのが"天皇家の総意"なのだ。
 秋篠宮さまは「こうした考えは山本長官に伝えたが、聞く耳を持たなかった」とまで言われた。
 これに対し、安倍政権は皇位継承順位第1位の「皇嗣」になられる秋篠宮さまの発言をあえて無視し続けるという。
「天皇家の政治的発言は許されない」というのが安倍政権の姿勢である。どちらが正しいのか?
 この際、日本の国民は「大日本主義」の安倍独裁を選ぶのか?「平和憲法」を守る天皇家を選ぶのか?
 平成最後の年末。日本国民は熟慮の時を迎えている。

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