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青い空白い雲
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今や五輪は国家総動員! でも「馬術は他国で」の声も

2018年9月16日号

牧太郎の青い空白い雲/684 

"東京五輪の危うさ"について、もう一度書きたい。

 相変わらずの「酷暑」。NHKは能天気に「命にかかわる危険な暑さ!」なんて平気でアナウンスするけれど、2年後の東京五輪は大丈夫なのか? 世界は「命にかかわる危険な五輪」を心配している。
 9月2日号で「間抜けなサマータイム導入論より五輪はナイターマラソンだ!」と主張した。もちろん賛否両論あり?と思っていたが、意外にも、ある五輪関係者が声を潜め、「実はナイターはマラソンだけではない。馬術競技も夜になるだろう......」と言うのだ。
 馬術はオリンピック競技の中で唯一、人と「動物」が一体で戦う。各国から天才的な馬が参加する。
 この馬たちを育てるのに諸外国は(調教などで)莫大(ばくだい)なカネと限りない努力をしている。その「お宝」のような馬たちが、「日本国の酷暑」でダウンしたら......。国際問題になりかねない。
 事実、「暑い日本に行かせたくない! 馬術は日本以外の国でやるべきだ」と言い放つムキもある。
 1956年のメルボルン五輪では、検疫の関係で馬術競技に限り、スウェーデンのストックホルムで行われた(2008年の北京五輪では、馬術競技は香港で実施された)。そんな前例があるから「馬術は他国で!」の可能性はゼロではない。
 そうでなくても、アメリカのいくつかのメディアが酷暑を承知で五輪を決行する「愚かな日本」を厳しく批判している。「サマータイム」の導入なんてシステム技術上、不可能だから、本来なら、東京五輪は「秋」に変更すべきだ!
    ×  ×  ×
 東京五輪にはもっと「不吉なこと」が多々ある。東京五輪の成功のため、日本国民はこぞって我慢すべきだ!との世論操作が始まった。
 例えば、五輪組織委員会が環境省、東京都などと共に進めている「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」。
 使わなくなった家電などを回収して貴金属を集める。それで、金銀銅メダル約5000個を作る!という計画だそうだが、まだ足りない。そこで安倍政権は、小中学校に「貴金属回収ボックス」を設置するというのだ。子供を使って「国民の財産」を奪い取る作戦?
 何やら、武器を作るため「金属供出」を国民に強いた戦時中を思い出してしまう。
 7月下旬、『毎日新聞』が「五輪期間『授業避けて』 国が通知、ボランティア促す」と報じた。五輪で大学生のボランティア参加を促すため、文科省は全国の大学に「大会期間中の授業や試験を変更できる旨」を通知した。この「お触れ」で、日本の大学生は事実上、過酷な(しかも酷暑の)タダ働きを強制されることになった。
 なぜ、東京五輪のスタッフは無償のボランティアなのか? それほど必要なのか?
 断っておくが、東京五輪は巨大な商業イベントである。すでに4000億円以上のスポンサー収入があった!と言われる。なぜ、商業イベントを支えるスタッフが無償なのか? 妙な話だ。
    ×  ×  ×
 災害ボランティアと五輪ボランティアは明らかに違う。
 突発的な災害に対し、被災地で多くの手助けが必要なのは当然。その「手助け」を無償で行うのは当然である。誰もが「個人による公共の福祉」を自覚している。
 一方、五輪は商業イベントである。スポンサーのために「利益」をどう生み出すか? どう最大化するか?というのが本来の目的だ(東京五輪が猛暑の夏になるのは米3大ネットワークの「利益」のためである)。五輪で莫大な利潤を上げるのが、組織委員会の目的である。組織委の森喜朗会長は 「東京五輪で目指しているのはオールジャパン体制」と話しているようだが、五輪のために大学生をボランティア活動に駆り出すのが、「オールジャパン」なのか。
 いわば、カネ儲(もう)けの国家総動員体制? 戦時中の学徒動員を思い出してしまった。
    ×  ×  ×
 まさか?と思うが、例のスーパーボランティア、尾畠春夫さんを利用しようとする"動き"があるらしい。山口県で行方不明となっていた藤本理稀ちゃんを発見した尾畠さんは「見返り」を求めない"ボランティアの鑑(かがみ)"。そこで、彼に「五輪ボランティア」を呼びかけてもらおう!という作戦。再三言うが、災害ボランティアと五輪ボランティアは「意義」が違う。
 ともかく、自民党総裁3選を前にした安倍晋三さんは、今や全体主義にまっしぐら。東京五輪を利用して、国家総動員体制に導き「強い日本」「我慢する日本人」をつくろうとしているように見える。
 限りなく「不吉」である。

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