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青い空白い雲
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カジノ法で"ヤクザ"は金利14・6%の高利貸しになる!

2018年8月 5日号

牧太郎の青い空白い雲/679 

 戦前まで、日本のヤクザは博打(ばくち)打ち。今風に言えば、「カジノ経営者」か?(暴力団という名称は戦後に広まった)。彼らの職場、つまり賭場のことを「鉄火場」と言った。

「鉄火」とは文字通り、鉄製品を作る鋳造所、いわゆる鍛冶のことである。火にかかって真っ赤になった鉄を「勝負に熱くなっている勝負師」にたとえて言った。カネになれば「鉄火」でも握りかねない大バカ野郎。それがギャンブラーである。
 その昔、芝海老(えび)の身を崩して鮨(すし)にしたものを「鉄火鮨」と言った。「下司(げす)の魚」とされていたマグロは"鉄火巻き"にされた。この鉄火鮨に引っ掛けて「身をもち崩した輩(やから)」の集まる場所が、「鉄火場」である。
 江戸時代、鉄火場は非公認だった。「お上の御用」を務める者だけは、「犯罪者の情報を取る」という口実で見逃してもらっていた。
 江戸のヤクザは博徒と警察の"二足の草鞋(わらじ)"だった。
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 お芝居の旅人(ギャンブラー)は三度笠(さんどがさ)に旅合羽(たびがっぱ)。振り分け荷物に長脇差(ながわきざし)......。カッコいいが、実際にはよれよれの着物、ゴザ一枚をくるくるっと巻いただけ。夜は破れ辻堂に潜り込み、ゴザに包(くる)まって夜露を凌(しの)ぐ。
 そういう輩が路用のカネ欲しさに「野天博打」を開く。だから、イカサマが絶えない。
 関西で流行(はや)った「投げ賽(さい)」はサイコロを投げるゲームだが、年季が入った博打打ちは自分の思いのまま、賽の目を投げ分けたと言われる。要するに、博打にイカサマは付き物。何でもやる。
 海道一の大親分、「清水次郎長」はイカサマの名人だった。
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 鉄火場は「費場所」とも呼ばれた。
勝負に夢中になって、気がつけば財布はスッカラカン。そこで「博打の開催者」はお客にカネを貸す(貸元(かしもと)〈胴元〉=親分)。
 要するに、ヤクザの親分は「二足の草鞋」であると同時に「イカサマ師」であり、金融機関でもあった。
 ヤクザはお客から搾るだけ搾り、返すカネがなくなると、お客の女房、娘を吉原などに売り飛ばす。地獄である。
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 安倍晋三政権は、何が何でも延長国会で「カジノ法」を成立させたかった。カジノの合法化はアメリカのトランプ大統領へのプレゼントだから必死である。
 トランプ氏はカジノ経営者だ。つまりヤクザである。世界一のカジノ王と呼ばれるラスベガス・サンズのアデルソン会長は、トランプ氏の最大のスポンサー。大統領選では、トランプ氏に約27億円を献金し、大統領誕生を資金面で支えた。
 だからトランプ氏は「日本でカジノを早く合法化して、オレの顔を立ててくれ!」。安倍政権は仕方なく、カジノ法案を国会で可決、成立させ、トランプ氏との"密約"を果たそうとしたのだ。
 トランプ氏にとって、共和党の劣勢が伝えられる11月の中間選挙に向け、アデルソン氏の大きな援助が必要だ。トランプ氏は、日本でのカジノ解禁立法と引き換えに、中間選挙でのアデルソン氏の資金援助を確実にしたい。秋では遅い。「今の国会で成立させてもらわないと困る」
 すでに、アデルソン氏は中間選挙で3000万ドル(約33億円)もの資金協力を約束した、と報じられている。このカネの「見返り」が日本でのカジノ合法化である。
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 アメリカのカジノ業界(「マフィア」と言っていいだろう)が、安倍政権に強く要求したのは賭場(鉄火場)。つまり、賭け金が不足した客に、胴元であるカジノ業者がカネを貸せるシステムである。
 持ち金がなくなって帰られたら、せっかくの"上客"を逃すことになる。そこで、カジノ施設内で「特定金融業務」ができるようにする。安倍カジノ法では、業者が一定額を預けた顧客に貸し付けができるようにしている。
 2カ月以内なら何と無利子。手持ちのカネがなくなったギャンブラーが、負けを取り戻そう!と無利子のカネに飛びつく。
 しかし、である。タダほど怖いものはない。返済できなければ、年利14・6%もの違約金が発生する。これは銀行ローンのほぼ最高金利だ。カジノ業者は第三者に債権を譲渡したり、回収を委任できるから多分、コワモテの兄ちゃんが取り立てに来るんだろう。
 要するに、安倍カジノ法は江戸時代の「悪徳ヤクザ」の合法化、アメリカのマフィアの日本上陸!なのだ。

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