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青い空白い雲
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「日大は悪者!」キャンペーンの陰で「巨悪」が逃げようとしている

2018年6月17日号

牧太郎の青い空白い雲/672 

 財務省のお偉い人が、安倍首相のために公文書を平気で「改ざん」するほどだから、銀行員が「嘘(うそ)」をつくのも当たり前なのだろう。
 例の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」が破産した騒動。「頭金なしで投資ができ、30年間家賃収入を保証」を謳(うた)い文句に、安サラリーマンをオーナーに勧誘した詐欺的商法? この片棒を担いだのがスルガ銀行横浜東口支店である。
 オーナーたち約700人に1棟で平均1億円の土地・建物の購入資金を融資していたという。総額1000億円超。業者が破綻となれば、融資を受けたオーナーは真っ青。自殺者まで出た。スルガ銀行自体、破産するかもしれない。
実はスルガ銀行の行員は借り手の預金残高を水増しして、さも信用力があるように見せかけた。もちろん、この「改ざん」は会社・株主・預金者に対する背任行為だ。刑事罰に該当するのだが、「みんなで渡れば怖くない」。行員は支店のノルマ達成のため「オレもやらなければ」と誤解した?
 組織に属する個人が「組織の暗黙の指示」に従い、犯罪的行為に及ぶ。多分、「ヤレ!」と命じた人物がいるだろうが......。「組織のため」と「自分の都合」が一致すると、人間は「相当に悪いこと」をしでかす。
 日本人の妙ちきりんな精神構造を解明するためにも、メディアはスルガ銀行事件を徹底的に追及すべきだろう。
    ×  ×  ×
 これは「悪質タックル事件の日本大学」とよく似ている。
「(相手選手を)ぶっ潰してこい」と指示した前監督、前コーチ、そしてそれに従った選手。刑事罰を受けるなんて気にせず「組織の勝利」のため、ヤクザのような"振る舞い"を演じる。スルガ銀行と日大はよく似ている。
 ところが、テレビの情報番組はなぜか「日大は悪者!」ばかりである。視聴率が稼げるからだろう。
 舞台は、荒々しいアメフトのフィールド。体と体がぶつかり合う格闘技。ヘルメットを被(かぶ)り防具をつけて臨む舞台だ。そこへヤクザ映画のような「切った張った」の展開。ドラマ性がある。視聴率は上がる。
 それに「日本人の10人に1人」が日大に関係していることも大きい。早い話、僕自身、日大一高卒だ。倅(せがれ)は「日大一高→日大経済学部」である。ともかく、日大はべらぼうに卒業生が多い。それだけで視聴率が上がる。テレビの情報番組は当分「日大」オンリーだ。
    ×  ×  ×
 だが、それでよいのか? 圧倒的な「日大は悪者!」キャンペーンのお陰で、本来糺(ただ)されるべき「巨悪」が(結果的に)隠蔽(いんぺい)されている。
 5月23日午後7時のNHKニュースを見て驚いた。トップニュースは「日大アメフト事件」の解説。確かに、国民的大事件になっていたが、加害者の日大生の「勇気ある告発会見」から1日以上たった時点だ。この日、新しいニュースはまるでない(前監督、前コーチの記者会見は、その後「午後8時から」だった)。
 なぜ、新しいニュースがない「日大もの」がトップなのか?
 実は、この日は歴史的な日だった。安倍内閣の下、長いこと「隠蔽されていた資料」が次々に公開されたのだ。森友、加計(かけ)、防衛省......。安倍内閣の犯罪的行為が暴露された"記念日"のような日だった。もちろん、午後7時のNHKトップニュースは、この「不祥事」を隠蔽した真相を詳報するものと思っていた。それが......。なぜ「日大」になったのか?
 不思議である。NHKは日大騒動を利用して、安倍内閣の致命的な悪事を隠したかにも見えるのだ。
    ×  ×  ×
 NHKはおかしい。これではあまりに「政権寄り」ではないか。森友事件でスクープしたNHK記者がいた。「NHKもやるじゃないか」と思ったものの、当の記者は左遷されたとの噂(うわさ)が流れた。
(NHKの闇については、徐々に書くつもりだが)安倍政権の「嘘」を許しているのが、NHKを筆頭とする政権寄りのメディアだ。考えてみれば、スルガ銀行の行員が平気で「嘘」をついたのも、日大のアメフト前監督が平気で「嘘」をついたのも、安倍さんの「大嘘」を真似(まね)しただけではないか? 安倍さんが「膿(うみ)」そのものなのに、安倍さんは「膿を出す!」などと言って「大嘘」をつく。メディアはこのセリフを何度も何度も流す。
 日大の監督は「信じてもらえないと思うが」と前置きして、結構神妙だったが、安倍さんは違う。「嘘」を「嘘」と思わない特殊体質の持ち主なのだ。
「日大のチンケな嘘」のお陰で、日本一の「嘘つき」が逃げようとしている。

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