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青い空白い雲
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安倍政権の「朝廷」は天皇でなくてトランプ大統領?

2018年6月 3日号

牧太郎の青い空白い雲/670 

 今回も「拉致と安倍」のことを書きたい。
 歴史的な南北首脳会談で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「日本は拉致問題解決を求めている」と伝えると、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は「韓国やアメリカなど、周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は直接言ってこないのか」と話したという。直接、話し合ってもよい!というサインと見る向きもあるが「安倍政権は何もしないじゃないか!」と嘲笑(あざわら)っているようにも見える。
 事実、安倍政権が(突如だが)、「何よりも大事な拉致事件」と言い出すと、北は「解決済み」と一蹴した。そうなると、手も足も出ないのが現状である。
    ×  ×  ×
 北朝鮮だけではない。国際社会が「日本」を疑っている。
 朝鮮半島の非核化問題で「置き去り」にされた安倍首相。不祥事続きでボロボロになっている最中、訪米すると米紙『ワシントン・ポスト』などは「イラつくトランプが衰弱した日本のリーダーを迎える」(4月17日付)という"皮肉交じりの見出し"で報じた。同盟国アメリカでさえ、安倍さんの「お願い外交」を笑って「日本の自主外交」を疑っているのだ。
    ×  ×  ×
 トランプ大統領が昨年11月に来日した時、屈辱を感じた。
 彼は羽田ではなく横田基地に降り立った。1000人以上の在日米軍兵士を前に「私のアジア歴訪を始めるに当たって、素晴らしい米兵と自衛隊員がいる横田基地を選ぶのは当然だ!」と演説した。
 この時、数百人の自衛隊員が「トランプのお迎え」に動員されている。「戦後レジームからの脱脚」なんて言いながら、まるで、日本はアメリカの占領下にあるかのようである。安倍政権で、日本はアメリカの属国になってしまった。
    ×  ×  ×
 明治維新以来、日本という国は朝廷第一主義である。
 幕末期。朝廷と徳川家は対立、最終的には戊辰(ぼしん)戦争によって徳川家が追討された。朝廷側、つまり天皇側は「正義」。徳川は朝敵だった。
 日本は(正確に言えば、保守=自民党は)、ずっと「天皇による国体」を守っていた。天皇を元首にしたいという主張もある。でも、「超右翼」といわれる安倍政権は幾分違っている。
 一昨年の天皇陛下の「おことば」以来、安倍さんは天皇と対立している。生前退位問題を議論するため設置された有識者会議に、「おことば」に批判的な日本会議系の学者を送り込んだ。安倍政権と一緒になって天皇を批判する一部の勢力はネット上でも「天皇は反日左翼」と主張するほどだ。安倍さんにとって守るべき「朝廷」は誰なのか?
 ズバリ、トランプ大統領である。だから横田基地に降り立つトランプ氏を自衛隊を動員して、熱烈歓迎するのだ。
    ×  ×  ×
 気の毒なのは、拉致被害者とその家族である。
 最近、あるメディアで、拉致被害者家族の蓮池透氏が話した「秘密の暴露」が気になった。概略はこうだ。
「あるメディアから、森友問題で籠池泰典理事長(当時)が安倍首相夫人から100万円をもらったと言っているが、蓮池さんは安倍首相から金銭をもらったことはないか?と問い合わせがあった。そういえば、2003年3月、家族会の事務局長として、米ワシントンに行った時のことです。ホテルに着いてロビーにいたら、政府関係者が近寄ってきて『安倍からです。ワシントンで使ってください』と茶封筒を渡されたのです。中には20万円が入っていました」
 安倍さんは誰にでもカネを配る。どこの国にもカネを配る。外交もカネで解決できる!と勘違いしている。
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 アメリカの言いなりで、何もできない「安倍外交」。それでも、解決の緒(いとぐち)はある。「金正恩の母」の存在である。母・高英姫(コ・ヨンヒ)さんは済州島(チェジュド)出身の高京澤(コ・ギョンテク)氏を父にもつ、在日朝鮮人2世だ。大阪で生まれ育ち、大阪市生野区鶴橋の北鶴橋小学校に通っていた。
 10歳の頃、北朝鮮へ渡って平壌(ピョンヤン)芸術大学を卒業、万寿台(マンスデ)芸術団に入り舞踏家になった。身長も高く、目鼻立ちもハッキリした美人。金正日(ジョンイル)氏の宴会で場を盛り上げる女性集団「喜び組」に選ばれた。金正日氏に気に入られ、3番目の妻になり、金正恩氏の母になった。
 北朝鮮の絶対指導者は日本と繋(つな)がりがあるのだ。これが、自主外交のキッカケになるのではないか?と期待しているのだが......。

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