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青い空白い雲
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頭脳明晰!嘘も上手!でも高級官僚の一生は「運」次第?

2018年5月 6日号

牧太郎の青い空白い雲/667 

 週刊誌のGW(ゴールデンウイーク)合併号の季節がやって来た。どこかに遊びに行くか?と思っているが、「天気」が気になる。"どしゃ降り"にあったら、右半身麻痺(まひ)の当方、どうしようもない。高いカネを払って、旅先のホテルに引きこもるなんて「不運」に遭遇する。

 天気の「運不運」がGWの運命を決める。
 2年前のこの時期、「肺がん」が発見された。たまには外国へ行こうかな?と思っていたのに......。「めちゃくちゃ不運!」と思った。でも......。「まだ早期で手術可能」と聞かされひと安心。名医に出会い、手術は成功。「運が良い」と感じた。
 運不運は代わりばんこに来る。
    ×  ×  ×
 本誌に連載中の「平成Climax オウム真理教事件の『真実』」が、僕の記者人生で「最悪の出来事」を書いている。
 1989年秋のことだ。『サンデー毎日』編集長だった僕は「オウム真理教の狂気」と題するキャンペーンを展開した。インチキ宗教に多くの若者が騙(だま)されている。放置できない。7週にわたり「オウム真理教の悪徳」を追及した。
 信者が編集部だけでなく、自宅にまで押しかけて「抗議」する。「牧太郎!デッチ上げをやめろ!」のビラが、最寄り駅から自宅のマンションまで、電柱や塀に貼られた。家族から「危ないから帰って来るな!」と電話が掛かってきた。
 ツイてないな!と思った。まず、家族が心配だ。インチキ宗教と争う覚悟はできていたが、家に帰れないとなると......。どうでもよいことだが、編集部に寝泊まりすれば下着やワイシャツを買ったりして、カネもかかる。
 第一、こちらが逃げているような、妙な気分になる。
 彼らの存在を知らなかったら、追及キャンペーンを始めなかったら、こんな「不運の日」を送らなかったのに。ちょっぴり落ち込んだ。
 ところが、運命の11月2日夜のことである。(裁判で明らかになったが)この夜、「尊師・麻原彰晃」は幹部を集めて「牧太郎をやる!」と命令した。帰宅途中、襲撃するつもりだったようだが、誰かが「牧は家に帰って来ない」と報告。すると、麻原は「それなら(教団に批判的な)坂本弁護士をやれ!」と言い出した。
 思い出したくない。殺されるはずの僕の"身代わり"で、坂本堤弁護士一家が惨殺された!
 坂本さんになんと言っていいのか? 泣いた。これは「運不運」の範疇(はんちゅう)ではない。30年近く経(た)った今でも、あのことを思い出すと......どうしようもなくなる。
「運命」としか言いようがなかった。
    ×  ×  ×
 天気のような「小さな運不運」もあれば、人生を決定づける「運不運」がある。
 運が良ければ、才能がなくても幸運に恵まれる。その反対に、才能がありながら運に恵まれない人がいる。やる気がありながら、チャンスに恵まれない人もいる。
 これが人生だろう。
「強運の王」は高級官僚だろう。「強運」だったから、今の「地位」にいる。そんな高級官僚がなぜか「不運」に泣いているのが、「2018年春」である。
 安倍内閣を守る立場にあったばかりに、官僚の皆さんが心ならずも国民を欺く。これまで「不運」を経験していないから右往左往する。気の毒である。
 財務省の福田淳一事務次官が女性記者に対してセクハラ発言を繰り返したと『週刊新潮』が報じ、その「助平な音声」が公開され、辞任表明した。気の毒である。やりたい放題の高級官僚の人生が、下手をすれば音を立てて崩れる。安倍内閣に加担しただけで、財務省の面々は「悪代官」と言われる。そのトップはセクハラで潰される。
 性的被害を受けた女性が、男性を告発する「#Me Too(私も)」運動が広がる時代背景もある。が、それよりも、彼が「安倍一派」であるということだけで標的になっている。「不運」である。
    ×  ×  ×
 やっと「不運の人生」を味わった高級官僚に、あえて申し上げる。
 人生は「運不運」である。しかし、その「運不運」には格差が存在する。資産家の子供に生まれたら、良い教育を受け良い学歴を背負い、高級官僚になれる。さもなくば、コネで一流会社に就職する。
 彼らは「支配者」になる。
 富の格差が「運不運」を左右して、封建主義的身分制度が出来上がっているのだ。
 高級官僚の皆さん! 「運不運の格差」に気づき、それを是正するのが皆さんのお仕事ではないか? GWとは無縁で、生活のために汗を流す「弱者」のことを考えてくれ!
 女性記者相手に「下ネタ」で遊んでいる暇はないじゃないか!

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