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青い空白い雲
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「昭和天皇のピンク映画」を"黒塗り"にさせた週刊新潮とは?

2018年3月25日号

牧太郎の青い空白い雲/661 

「鬼面、人を驚かす」とでも言えばよいのだろうか?
 いささか古い話になるが、 3月1日発売の『週刊新潮』(3月8日号)のトップ記事は「『昭和天皇』のピンク映画」。新聞広告の見出しを読んで、ドキッとした。
 昭和天皇がピンク映画を見ていらっしゃったのか? いやいや、仮にもトップ記事だから、もっと衝撃的な話だろう。もしかして昭和天皇がピンク映画を作った? まさか! いやいや、ピンク映画に出演された? まさか!
 何が何だか分からないが、ともかく驚いた。
 手元に置いてあった朝日新聞の広告欄では、その部分が......「昭和天皇」の文字と写真が「黒塗り」になっている。
 何が起こったのだろう。週刊新潮を買うしかない。
    ×  ×  ×
 その週刊新潮のトップ記事は「不敬描写で2月公開が突如延期!『昭和天皇』のピンク映画」とあった。
 中見出しもいっぱいあった。▼脚本入手!「朕は人妻と密会せり」劇場支配人が飛び上ったモチーフ▼『ローマの休日』ファンが度胆を抜かれる「濡れ場シーン」▼「表現の自由はエロとスキャンダルから!」啖呵を切った監督の矜持▼主演女優はあの「人気AV嬢」▼不敬でお蔵入りした「皇室関連映画」の歴史▼「右も左も心して観よ」の宣伝文句に「民族派右翼」重鎮の苦言 ...... とにかく長ったらしい。そのくせ、中見出しを読んでも何が起こったのか? 分からない。
 でも、重大な出来事が起こった!と思った。何しろ、手に入らない「脚本」を入手した!と胸を張っているのだから、大スクープなのだろう。
 しかし、読んでみると......。まったく拍子抜けだった。というより「インチキ」だった。
 あるピンク映画の主人公は、自分を「朕」と呼ぶ人物。明らかに昭和天皇をイメージさせるように描かれていた。でも、このピンク映画、どこからか文句が出るのではないかと心配したのだろう。製作側の自主規制で上映されずに終わった。と、それだけの話なのだ。
 インチキである。さもワケありのように「『昭和天皇』のピンク映画」というタイトルをつけ、驚かす。昭和天皇の写真をわざわざつけて、新聞社の良心派を「黒塗り」に誘い込む。
 見せかけだけ、恐ろしそうに恐ろしそうに見せる。
 鬼面、人を驚かす! である。
    ×  ×  ×
 昨今、新聞広告の「黒塗り」は珍しい。過去に週刊現代や週刊ポストの「女性器」とか「巨乳」といった表現が、新聞広告で黒塗りになるケースはあったような気がするが、皇室を扱った記事が「黒塗り」になったことは、平成になってからは記憶にない。
 天皇、皇后両陛下が「言論の自由」を大事にされてからだろう。皇室報道のタブーも少なくなった。
 そんな中で週刊新潮は意識的に「黒塗り」を誘ったのではないか。朝日、読売、毎日、日経は「このまま広告を載せたら文句が出るぞ」とでも考えたのか、よく分からないが......。まんまと週刊新潮の策略に乗せられ「黒塗り」にしてしまった気がする。
「どうでもよい話じゃないか!」と「黒塗り」にしなかったのは、東京新聞と産経新聞だ。日ごろ、信念を曲げない新聞社は「黒塗り」をしなかった? それはそれで見事だ。
    ×  ×  ×
 秋篠宮家の眞子様の婚約延期問題で、気を吐いているのは女性週刊誌である。小室圭さんの母親の借金問題を12月下旬に報道したのは、週刊女性。 それを追いかけたのが、天下の週刊新潮、週刊文春だった。
 新潮は、小室家の新興宗教に関する記事を大々的に報じたが、これも女性セブンなどの焼き直しである。
「皇室もの」は女性週刊誌の「後追い」でも売れる!と思ったのか。そこで、どうでもよい「小さなゴシップ」を皇室ものに仕立て上げた。
 でも......情けないではないか?
 週刊新潮さん、このままでは、週刊誌業界の笑い者になってしまうぞ!

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