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青い空白い雲
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中国はバブル崩壊? 日本は銀行が「サラ金」になった!

2018年2月 4日号

牧太郎の青い空白い雲 654 

「税務署に行く時は、粗末な服装がよい。カネを借りる時は上等な背広の銀行員に負けないように、パリッとした服装にしろ!」と親に教えられた。
 ところが最近、銀行員は気のせいか"着たきり雀(すずめ)"。「上等」とは思えない。ひょっとすると、銀行員は貧乏になったのか?
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 話は変わる。2018年の世界は北朝鮮が鍵!......だったが、南北閣僚級会談で北朝鮮が平昌(ピョンチャン)冬季五輪に選手団を派遣することを表明。米朝戦争はひとまず回避され、証券市場はひと安心。年内にダウ平均3万ドルを超す!と強気の見方まで出てきた。
 でも、本当に18年の世界経済は安心なのか?
 それは違う。深刻なリスクが中国にある。
 ここ数年、国際通貨基金(IMF)や世界銀行が警告している「この国の債務膨張」。債務は国内総生産(GDP)比257%(16年末)。中国の銀行の企業向け債権の半分が不良債権か、不良債権予備軍である。
 1997~98年に北海道拓殖銀行、山一證券、日本長期信用銀行が破綻した時の日本を思い出してもらいたい。それと同じことが今、中国で起ころうとしている。
 もし「銀行破綻」が重なり、習近平政権が処理を誤ったら......。銀行員は大量失業する。もちろん、世界経済はめちゃくちゃだ。
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 日本の銀行だって、危ない。
 銀行に行くと「収入証明書不要! 契約書への押印不要!」「アルバイト、専業主婦の方もご利用OK!」というパンフレットを見かける。例の銀行カードローンである。
 銀行は日銀の低金利政策で利ザヤがなくなった。日銀に現金を預けると、日銀が「手数料」を取る。マイナス金利である。
 今、普通預金金利は0・001%。住宅ローンや企業向け貸出金利も1%前後。 ところが、銀行カードローンは約14・5%。数少ない貴重な収入源なのだ。
 そこで、カードローンの契約が銀行員のノルマ。要するに、銀行が「サラ金」になった。
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 たとえば、年収220万円の60代の女性に500万円。無収入の50代の男性に100万円......。そんなめちゃくちゃな融資が日常茶飯事。その結果、2016年度末時点の銀行カードローン貸出残高は前年度より9・4%増えて5兆6024億円。本当の「サラ金」の約4兆円を上回った。
 銀行カードローンは無担保。限度額の範囲なら何回も借りられ、使い道も自由だ。貸金業法及び出資法の改正で10年6月以降、消費者金融の上限金利は年29・2%から20%に引き下げられ、「年収の3分の1」までしか貸せない「総量規制」が導入された。しかし、銀行カードローンは貸金業法ではなく、銀行法。総量規制の対象外だから、専業主婦でも借りられる。2社目、3社目の借り入れも可能だ。銀行は「サラ金」より有利な場所にいる。
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 何しろ、収入の何倍も借りるのだから、返せるはずがない。個人の自己破産件数は16年度に13年ぶりに増加した(17年の自己破産申立件数は10月末の時点で、5万6000件余。16年同時期の5万3000件を上回っている)。自殺も増えている。
 多重債務が急増するだろう。となれば、銀行カードローンは破綻する。銀行は「カードローン契約」のノルマを果たした銀行員をリストラするしかない。事実、メガバンク3行は数万人規模のリストラを断行する。
 銀行員は粗末な服装!なんて悠長な話ではない。ひょっとすると、これからの銀行は地獄?
 黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁が金融の異次元緩和に乗り出してから5年近くたって、証券市場はバブルめいた雰囲気だが......。もはやアベノミクスは限界ではあるまいか。
 今年の世界経済の鍵を握るのは、「銀行の運命」である。

 

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